1948年 アメリカ 80分
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェームズ・スチュワート、 ジョン・ドール
室内劇サスペンス。 ★★☆
一部屋内だけで展開される、いわば舞台もの。
カメラの切り替えもほとんどなく、物語の経過時間と映画の経過時間が同じという実験的な手法とのこと。
ヒッチコックの初のカラー作品とのこと。
冒頭で2人の大学生、ブランドンとフィリップが友人を絞殺する。
自分たちは優秀な人間だから愚かな人間を殺すことが許されている、という(自分勝手な)理屈で、友人をロープで絞殺したのだ。
さらに、その死体を衣装箱に入れ、その部屋に被害者の親や恋人を呼んでカクテル・パーティをするという、なんとも歪んだことを考える。
そんな大胆なことをしても、自分たちは完全犯罪をすることができると思い込んでいる。
この映画の面白さは、パーティに来るはずなのにいつまでも姿を見せない被害者のことを不審がる親や恋人と(実は、部屋の中に居るのだが・・・!)、それを素知らぬ素振りでとぼける加害者二人の会話のやりとりにある。
それに、殺人に使ったロープが衣装箱から覗いていたり、家政婦が衣装箱を開けようとしたり・・・。
観ている者は、いつ犯罪がバレルのかとひやひやしながら観ている。
客の中には詮索好きの教師(ジェームズ・スチュワート)もいて、鋭い質問を二人にしたりする。
自信満々のブランドンがあくまでも挑発的なのに対して、小心者のフィリップはおどおどとして、言動にあやふやなところが出てくる。
この二人の対比がドラマを盛り上げる。
かなり高層階のアパートらしく、窓の外には摩天楼の風景が見えている。
ドラマの時間が経つにつれて、空をおおっている雲の様子が変化していく。
まるで動く書き割りといった感じだが、これはなかなかにいい雰囲気を出していた。
パーティも終わって完全犯罪が成立したかとみえて、教師の鋭い観察眼によって犯罪は暴かれる。
正直なところ、この謎解きはそれほどのものではなかった。
それに、実験作的な意味あいが強く、あまり一般的な評価は高くないようだ。
しかし、緊張感もあって、80分という無駄なところがないドラマ展開で、結構面白く見終えた。