2002年 フランス 115分
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:レベッカ・ローミン・ステイモス、 アントニオ・バンデラス
悪女サスペンス。 ★★★☆
デ・パルマは「アンタッチャブル」や「MI」のような正当派もきちんと作るが、B級作品も多い。
そのB級作品群の中でもっともお気に入りがこの「ファム・ファタール」。
デ・パルマのB級作品とくればエロティック・サスペンスとなるのだが、この作品、並みのエロさではない。
映画祭の会場で、ダイヤだらけの蛇の形をした装飾品を盗む宝石泥棒団。
そのメンバーの一人、ロール(レベッカ・ローミン・ステイモス)は奪った宝石を独り占めしようと、仲間を裏切って逃亡する。
ロールは、逃げ込んだ家で自分と瓜二つの女性が自殺するのを見て、彼女に成り代わってアメリカへ逃亡する。
あれよあれよと、怒濤のような物語の展開。
冒頭にあらわれるレベッカ・ローミンは短髪、男装の麗人風で、宝石を身につけたモデルをレズビアンの手練手管で籠絡する。
公衆の場でおこなわれるその痴態がなんとも悩ましい。
さすがデ・パルマ。魅せてくれる。
あれよあれよと7年が経ち(笑)、ロールはなんとアメリカの外交官夫人におさまっている。
夫がフランス勤務になり、ロールもかっての因縁の街、パリへ戻ってくる。
裏切った昔の仲間に見つかったら、ただじゃすまないわね、顔を見られないようにしようっと。
さて、ここで登場するのがパパラッチのニコラス(アントニオ・バンデラス)。
彼は、謎に包まれた大使館夫人を盗撮してメディアに売りつけようと、ロールに狙いをつける。
おかげでロールの顔写真がパリ中に知られてしまう羽目になる。
それにしても、この作品でのバンデラスは、もう、いいようにファム・ファタール・ロールに翻弄される。
男は純情だから、女にすぐに騙されてしまう。手玉にとられてしまう。情けない(苦笑)。
ロールがニコラスに焼き餅を焼かせようとして他の男を誘惑する場面がある。
下着姿で挑発するのだが、まあ、そのエロいこと。ヌード姿などよりももっと官能的。
(はじめにこの作品を観たのはTVでだったのだが、この場面を観た妻が、こんなのをテレビで放送してもいいの?と思わず言ったほど。)
さすが、デ・パルマ、魅せてくれるねえ。
物語も充分に捻ってある。
昔の悪党仲間との因縁が再燃したりもするのだが、終盤になって、あっ!という展開を見せる。おいおい、そうくるのかよ。
デ・パルマ、やってくれるねえ。掟破りのすれすれじゃないか(笑)。
とにかくレベッカ・ローミンの魅力に悩殺される、振り回される。
そんな、とんでもない悪女ものだが、ラストはなんとなく、ああ、よかったなという感じで見終えることが出来ます。
デ・パルマ・ファンなら観ておかなければならない1本です(笑)。