2005年 スェーデン 111分
監督:モンス・モーリンド
一応はアクション映画? ★★
スェーデン映画といえば「ドラゴンタトゥーの女」のオリジナルからはじまる「ミレニアム」3部作があった。
どことなく低い雲が暗く立ちこめる雰囲気があって、ヨーロッパ映画とはいっても英仏映画とは少し異なっていた。
さて、この映画はパッケージ写真から美女が活躍する痛快アクション映画かと思ったのだが…。
原題は”ストーム(嵐、 暴風)”で、プロミスという名のコスプレ・ヒロインが大活躍をするこのタイトルの漫画がある。
漫画の中で、プロミスは謎の小箱を謎の敵から奪い、必死の逃亡を計っている。
一方、現実世界でのドニーは全くさえないぶらぶら男。
そのドニーの元へ、実体となったプロミスが謎の小箱を預けにあらわれる!
う~ん、設定は斬新というか、無茶苦茶というか、漫画の世界と現実の世界がごちゃごちゃに入り乱れる。
ファンタジーものでときおり見られるような、主人公が物語り世界に入り込んで活躍をするというのではなく、両方がごちゃごちゃに混ざっている。
たとえば、漫画の中でプロミスが捕らえられた場所を、現実世界でもドニーが探しあてたりする。
どういう法則なのかが理解できない。
というか、きちんと整理されていない。
観ているうちに、ドニーが無意識のうちに心の中で封印してしまった過去の過ちに、もう一度立ち向かおうとしている物語だということが判ってくる。
漫画「ストーム」も、幼い日にドニーが愛読していたものだったのだ。
そのヒロインがドニーに過去の日々を突きつけてきていたのだった。
邦題の「ジェネシス」は、”起源”とか”創始”とかいう意味なので、原題よりはこちらの方が内容にはよく合っている。
弟が今でも暗闇を怖れるのは何故だったのか?
少年だった日に女友達におこなってしまったのはどんな行為だったのか?
そして、ガラス細工の動物に込められていた悲しい事件は何だったのか?
過去の忌まわしい記憶を封印してしまおうとする自己と、過去の記憶をもう一度検証しようとする自己が、一人の人間のなかで闘っているわけだ。
とてもよくいえば、形而上的な命題を視覚化した試みということになる。
試みはとても面白い。
しかし、あまりにも理屈が通らないことが多いのはなんとしても残念だった。
この試みを、もっときちんとした脚本で撮ると面白い作品になりそうなのですが。