あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「地獄でなぜ悪い」 (2013年)

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2013年 日本 129分
監督:園子温
出演:國村隼、 堤真一、 二階堂ふみ、 友近

はちゃめちゃヤクザ・映画。 ★★

人の心の奥底に潜むどろどろをこれでもかと取りだして見せたり、東日本大震災原発問題を突きつけたりしてきた園子温監督の、なんと、今回はヤクザ映画。
それも、おそらくは自分の若い頃をオーバーラップさせたと思える映画オタクとのコラボレーション・ドラマ。

ヤクザの組長・武藤(國村隼)は、まもなく出所してくる妻・しずえ(友近)の夢を叶えようとする、
それは溺愛する娘・ミツコ(二階堂ふみ)が主演する映画の製作。
しかし、武藤の組は抗争の真っ最中で映画制作どころではない状況。さあ、どうする?

とにかく勢いだけで作ってしまった、というような映画。 
正直、はしゃぎすぎる映画オタクの連中はウザイ。園監督もかってはこんな感じだった? まさか、ね。
物語のテンポもなんだかまだるっこしい。
好きなことをつなげていって1本の映画にしたという感じなので、無駄な場面も少なくない。
もっとすっきりと切り取ってほしかったが、このだらだら感も撮りたかったのだろうなあ。

組長武藤は、軟弱男と駆け落ちしようとした娘・ミツコを連れ戻し、ひょんなことで繋がった映画オタクの連中に自主映画を撮らせることにする。
内容は、実際の殴り込みの現場を撮影してしまおうというもの。

対立するヤクザの組長・池上に堤真一
実はミツコは幼い頃からの女優志望で、子役として歯磨きのCMに出演していた。
敵の組長である池上は、そんなミツコの大ファンだったのだ。
このあたりの設定は流石に上手い。
堤真一がとても良い。もう限りなく舞い上がってしまっている。キレていると言っても良い。

後半、撮影機材を持ち込んだ現場で殴り込みが始まる。
もうR16だかR12だかの、スプラッター場面の連続。
切られたヤクザ達の血が吹き出るなどは序の口、首はすっ飛ぶわ、頭は日本刀でかち割られるわ、もう、大変。
さあ、映画オタクが夢見た理想の大傑作は撮れたのだろうか?

とても一般受けするような映画ではない。
しかし、ヤフーあたりを見ると鑑賞評価はとても高い。へえ~、みんなそうなんだ・・・。

確かに勢いは感じるのだが、これまでの園監督作に比べれば、個人的にぬるいと思ってしまった。
はしゃぎすぎの映画オタクではなく、しかめっ面の、孤高のさすらい人の映画オタクを登場させて、そんな人物に理想のはちゃめちゃ映画を撮らせたかったぞ。