あきりんの映画生活

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「愛してる、愛してない・・・」 (2002年)

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2002年 フランス 96分
監督:レティシア・コロンバニ
出演:オドレイ・トトゥ、 サミュエル・ル・ビアン

ラブ・サスペンス。 ★★★

オドレイ・トトゥとくれば、あの「アメリ」である。
(男には理解が難しいと思える)若い女性の夢見るような映画だった。
今回の映画の宣伝文句は、「あなたがバラをくれたから、私は心にケガをした」というものだったらしい。
これは上手い! 映画を見終わった後に、あまりのこの文句の上手さに脱帽。

美術学校に通うアンジェリクオドレイ・トトゥ)の恋の相手は、心臓外科医のロイック(サミュエル・ル・ビアン)。
しかし彼には妊娠中の奥さんがいて、なかなか自由に会うことも難しい。
アンジェリクは出会いの記念の1本のバラを贈ったり、彼の絵を描いて贈ったりする。
彼女は彼に夢中で、彼がすべてなのだ。

大きな眼を見開いて、彼との甘いやりとりを女友達に語るアンジェリク
オドレイ・トトゥは「アメリ」を演じた時と同じように、自分の世界を作り上げている。
彼女のことを思って、そんな不倫のような恋は止せと言ってくれる男友達もいるのだが、それでも彼女の眼中にはロイックしかいない。
自分が留守を任されている家の合い鍵を彼に送り、二人だけのイタリア旅行の約束を楽しみにしている。

しかし、身重の奥さんがことごとく二人の中を邪魔するようなのだ。
彼は訪ねてこないし、旅行に出発するはずの空港にも彼は現れなかった・・・。

ロイックの態度に絶望したアンジェリクはガス自殺を図る。
彼女の鼓動が次第に遅くなり、止まりかける。
すると、ここで映画の時間軸が始めまで巻き戻される。物語がもう一度繰り返される。えっ!

ここから映画はぐんと面白くなる。
前半は、若い女性の少し微笑ましいような(どこにでもあるような)一途な恋物語、と思えていたのだが・・・。

(以下、ネタバレ)

後半は、今度はロイックの視点から物語がもう一度繰り返される。
前半でのアンジェリカが思っていた事柄が、実はこういうことだったのだと明らかにされていく。
そうか、バラの花を受けとった時の嬉しそうなロイックの笑顔はそういうことだったのだね。
彼女が贈った絵は、実はこういうことになっていたんだね。

どうもおかしいなと思いながら前半を観ていたのだが、ここまでのこととは思わなかったぞ。
う~ん、女性は怖ろしい。純情で一途な女性は怖ろしい。
最後に、彼女が退場した後に残された”ロイックの絵”は、実に怖ろしい。

オドレイ・トトゥといえば、やはりあの「アメリ」なのだけれども、あの夢見る少女が一歩間違えばこの映画のアンジェリクになるわけだな。
無邪気な夢見る少女には、幸せのお裾分けだといってバラの花などあげてはいけない、ということがよくわかった。
夢は妄想につながってしまうぞ。気をつけましょう。