2015年/インド/158分
監督:サンジャイ・リーラ・バンサーリー
出演:ディーピカー・パードゥコーン、 ランビール・シン、 プリヤンカー・チョープラー
恋愛もの史劇。 ★★★
お正月だから、長い映画だって観てしまうぞ(笑)。
舞台は18世紀のインド中西部。
マラーター王国の宰相兼将軍バジラーオ(ランビール・シン)は、ムガル帝国軍に包囲されたブンデルカンド王国を救う。
そしてブンデルカンド王姫のマスターニー(ディーピカー・パードゥコーン)は(彼女は武芸にも秀でていた)、ともに戦ったバジラーオに一途な恋心を抱く。
この映画は、すでに妻のいる勇者に恋をしてしまった異教徒女性の物語。
マスターニーはすべてを捨ててマラーター国のバジラーオの元へ赴く。
実はバジラーオは、勇敢に戦ったマスターニーを称えるためにに愛用の短剣を贈っていたのだ。プンデルカンドではそれは結婚申し込みの意味を持っている行為だったのだ。
しかし、バジラーオには美しい正妻のカーシー(プリヤンカ・チョープラー)がいるぞ。
たいていのインド映画には並大抵ではないレベルの美女が登場する。
中でも私の一押しが、マスターニー役のディーピカー・パードゥコーンである。
「チャンドニチョーク・トゥ・チャイナ」という(B級)映画で初めて観たときには、世の中にこんな美女が本当にいるのか!と驚嘆したものだった。
彼女の初映画出演は大ヒット映画「恋する輪廻」だったのだが、そのとき21歳。
そしてこの映画の時は29歳。初々ししい魅力から成熟した魅力へと変わってきている。
それに加えて、カーシー役のプリヤンカー・チョープラーも負けず劣らずの美女である。
正統派美女という基準でいえばプリヤンカーの方が上かもしれない。
何しろ彼女は19歳の時にミス・ワールド大会でグランプリを取ったほどの美女なのだ。
この映画の時は30代半ば過ぎになっているはずだが、落ち着いた大人の魅力である。
さて。自分を慕ってやってきたマスターニーにバジラーオも激しい恋に落ちる。
しかし、彼女がイスラーム教徒だったこともあり、2人の関係は周囲の人たちには認められない。
特にひどい仕打ちをしてきたのはバジラーオの母親、そして弟。
異教徒のお前なんか息子の愛人でしかない、結婚なんてできるわけがないでしょ。
酷い迫害を受けるマスターニーをバジラーオだけが庇い続けてくれる。
インドの宗教事情はややこしい。お釈迦様の国だが仏教徒は案外少なくて、主となるのはヒンドゥー教とイスラム教のようだ。
私のような宗教寛容者(無関心者?)には理解しがたい対立の原因になっていたりする。
ヒンドゥー教の聖なる色はサフラン色で、イスラム教では緑色。
大事なときに使う布の色でも対立するほどなのだ。
しかし一番つらいのは正妻のカーシーのはず。愛する夫にいきなり愛人が現れて、しかも夫はその愛人にぞっこんなのだ。
それなのにカーシーは何とかしてマスターニーの存在を認めようとしてくれるのだ。
心が優しくて、とびきりの美女で、しかも夫に惚れぬいている。
こんな好い奥さんがいるのに、他の女性に心を動かされたバジラーオ、結局お前が一番悪い。
みんな、お前の優柔不断な女好き(!)の性格のために起きた悲劇だぞ(でも、そう言ってしまっては映画が成り立たないか・・・)。
お金をかけた豪華なお城のセットで、女性たちの美しい衣装。
しかし物語は三角関係の悲恋ものである。はっきり言ってそれほど目新しいものではない。
やはりこの映画、超美女のヒロイン二人で充分に元が取れたなあというところである。
映画の中程すぎにこの二人のダンス・シーンがある。絢爛な群舞で、これぞインド映画!であった。
物語はマスターニーがどんどんと悲しい運命に遭うようになっていく。
愛するバジラーオとの子どもも生まれたというのに、刺客に襲われたり、牢獄にとらわれたり・・・。
バジラーオの母親とか弟とか、それにバラモンの僧侶達の意地悪ぶりは腹だたしいことこの上ない。くそっ、こいつらのせいで・・・。
インド映画らしく2時間半越えの長さである。
しかし退屈することはなく、可哀想なディーピカーがどうなってしまうのだろうと、完全に感情移入して観てしまった(汗)。