1967年 フランス 100分
監督:ルイス・ブニュエル
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、 ジャン・ソレル、 ミシェル・ピッコリ
性的妄想映画。 ★★★
ブニュエル監督のあまりにも有名な映画。
簡単に言ってしまえば、上流社会の夫人が性的妄想にとらわれたあげくに、昼間だけの娼婦になる、という物語。
ヒロインは高貴な美しさといってもいいカトリーヌ・ドヌーヴ。
冒頭からヒロイン、セブリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)の妄想場面が映る。
馬車に乗って森へやって来たセブリーヌは、夫の命令で御者二人に鞭で打たれるのだ。
シュルレアリスティックな映像で、いかにもブニュエルらしい。
セブリーヌにはなにかトラウマがあって、被虐的な性的妄想を必要としていたようなのだ。
セブリーヌは外科医の妻で、金銭的には満たされた裕福な生活をしている。
夫はセブリーヌを優しく愛してくれているのだが、彼女には満たされないものがどうしようもなくあるようなのだ。
ある日、高級娼婦の館のことを知ったセブリーヌは、女主人にここで働きたいと申し出る。
非常に性的なものに題材をとっているのだが、もちろん裸体が映るわけでもないし、性的行為の場面があるわけでもない。
理知的に性的なものを描こうとしていると言える。
昼間だけの娼婦としての行為をするようになったセブリーヌは、夫が喜ぶほどに明るくなってくる。
しかし、館を訪れた夫の友人と出逢ってしまう。ああ、どうしよう?
そしてセブリーヌに惚れ込んだ裏稼業の若者につきまとわれはじめる。ああ、どうしたらいい?
ついには悲劇が起こる。その悲劇がセブリーヌの生活を大きく変える。
妄想と現実。どちらに生きている自分が本当の姿なのか。
この映画では性的欲望に焦点が当てられているが、妄想はなんについてでも起こる。
自分が自分らしく生きるために、自分はなにを妄想する?
映画の最後に、冒頭で映った馬車がまた走ってくる。
しかし、今度はその馬車にはもう誰も乗っていない。
セブリーヌは妄想から解放されたのだろうか。
ヴェネツィア映画祭で金獅子賞を撮っています。