あきりんの映画生活

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「スワンの恋」 (1983年) 猥雑だけれども、純粋な恋心

1983年 フランス 110分 
監督:フォルカー・シュレンドルフ
出演:ジェレミー・アイアンズ、 オルネラ・ムーティ、 アラン・ドロン

パリ社交界の恋愛もの。 ★★☆

 

原作は、あのプルーストの長編小説「失われた時を求めて」である。
その第1巻は「スワン家の方へ」だが、その中の第2章(だった?)「スワンの恋」を映画化している。
一度は読みたいと思っている小説だが、なにしろあまりにも長い。で、映画で雰囲気をまずは味わってみようと、鑑賞(汗)。

 

時代は19世紀の末。パリの社交界でくり広げられる恋物語である。
裕福な家の青年スワン(ジェレミー・アイアンズ)は社交界の花形だった。
しかしその一方でユダヤ人であることから爵位もなく、真の名家の人間とは見なされていない様子。
そういうお高くとまった人々が社交界を形成していた時代だったのだな。
そんなスワンは高級娼婦であるオデット(オルネラ・ムーティ)に心を奪われている。

 

物語は華麗なパリ社交界を舞台にしているので、男女が着飾った衣服、室内調度品、さらに上品さ(?)を第一とする会話などがこれでもかと描かれる。
うわべのきれい事ばかりなので、虚飾に彩られた社交界のいやらしさ、空しさも感じ取れる。
監督はあの「ブリキの太鼓」を撮ったフォルカー・シュレンドルフである。

 

このころの高級娼婦というものがどんな様だったのかが判らない。
娼婦なのだが立派な家に住み、召使いまでいるようなのだ。
そして他の人からどう思われているかはともかくとして、上流社会の会合などにも出席したりするのだ。
(そういえば、「ティファニーで朝食を」のヒロインも高級娼婦だった。でも、演じたのがヘップバーンだったからそんな艶めいた雰囲気はまったくなかったな。)

 

それはともかく、スワンは馬車の上でオデットが胸につけていたカトレアの花を直すために彼女に触れた瞬間から彼女に魅せられてしまったのだ。
音楽会もサロンでの交流も、今や彼にとっては彼女の姿を目で追う場になってしまった。

 

スワンの友人の男爵役に、なんとアラン・ドロン
主役じゃなかったんだね。しかも男色家という役どころで、途中では言い寄った青年にフラれたりもする。あれあれ。

 

スワンは、オデットが音楽会に出かけていったと聞くと急いでそのあとを追ったりする。
そして彼女が公爵夫人の求愛に応えたのかどうかを執拗に問い詰めたりする。
彼女はじらすように、二度、三度、ずっと昔にあったかも・・・と答えたりする。
(この時代、ゲイとかレズビアンとかはかなり一般的だったような雰囲気。そうだったんだ。)

 

裕福な、しかし上流社会には溶け込めなかった青年と高級娼婦との恋物語だった。
互いの迷いや駆け引きがあり、少し屈折した心理描写が見どころだった。
背景には、退廃と物々しい儀礼と、そして性欲と軽蔑の世界が渦巻いていた。

 

最後に10数年後の様子が映る。
女の子を伴っているスワンが、アラン・ドロン扮する男爵と話をしている。
その向こうを、優雅に日傘を差したオデットが悠然と歩みを進めていた。
彼女の姿を見た男たちがひそひそと話す、おや、オデットだ、今はスワン夫人だ、俺は昔500フランで彼女と寝たことがあるよ。

 

同じお金持ちと娼婦の恋物語でも、単純明快でハッピーな「プリティ・ウーマン」とはまったくテイストの違う映画だった。
これ、フランスとアメリカのお国柄の違い?