あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「キス★キス★バン★バン」 (2000年)

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2000年 イギリス
監督:スチュワート・サッグ
出演:ステラン・スカルスガルド、 クリス・ペン、 ポール・ベタニー

人間的な殺し屋。 ★★★

このタイトルの「キス★キス★バン★バン」というのは、”女にはキスを、男には銃を”ということらしい。
よく似たタイトルの映画に「キス・キス・バン・バン LA的殺人事件」というアメリカ映画がある。
検索するとそちらがヒットしてしまう。そちらの方が有名なんだろうね。 

フィリックス(ステラン・スカルスガルド)は凄腕の殺し屋だったのだが、腕の衰えを感じて引退しようとする。
弟子のジミー(ポール・ベタニー)を殺し屋組織に案内して、引き継いだつもりだった。
しかし、そんなことは許さねえと、組織はフィリックスの抹殺を指示する。
組織の殺し屋が次々とフェリックスを倒しにあらわれる。

と書くと、バリバリのハードボイルドものに思えるかもしれないが、雰囲気はまったく異なる。
殺しをしたり、撃ち合いをしたりしていても、どこか雰囲気が穏やかなのである。
ゴダールの映画に「アルファビル」という、未来の殺し屋を描いた映画がある。
ちょっと雰囲気が似ている。
要するに現実感が乏しいのである。どこか空々しいのである。
このズレ加減、そこがこの映画のいちばんの魅力。

フィリックスは新しい仕事として、知り合いの息子ババ(クリス・ペン)の子守をはじめる。
このババは33歳になるのだが、あまりに過保護な親に育てられたために、生まれてこの方家の外へ出たことがなかったのだ。
気は好いのだが、まったくの世間知らず。まるで幼児のよう。

ということで、この映画は、組織に狙われる一匹狼の話と、その一匹狼に連れられて始めて外の世界を好奇心一杯で体験していく無垢の青年の話が、入り交じって描かれる。
ハードボイルド?と人間ドラマ。
ちょっと変わっているわけだ。

ステラン・スカルスガルドは知的な紳士というイメージの役者。
この映画では、組織に負われるわ、ババの扱いに手を焼くわで、始終眉間にしわを寄せて渋面。
しかし、無垢なババに接している内にフィリックスも人間性を取り戻していく。
(きれいな彼女にも、あなたはババと出会ってから変わったわ、と言われる)

で、ポール・ベタニーは何をしているかというと、陰ながら必死にフィリックスを組織の手から守ってくれるのだ。
泣けるような献身ぶりなのだ。お前、好いやつだなあ。
しかし、彼が必死に守ってくれていることを、当のフィリックスはまったく気付いていないのだ。もどかしいなあ。

物語の終盤に、あっと言うような展開となる・・・。
えっ、こんなことが起こってしまうの・・・!

この映画は、ずいぶん昔にTVの深夜放送で観て、独特の雰囲気が印象に残っていた。
何とかもう一度観たいものだと思って捜していた。
・・・なんと、DVDになっていた。嬉しかった。