あきりんの映画生活

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「男と女、モントーク岬で」 )(2017年)

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2017年 ドイツ 106分
監督:フォルカー・シュレンドルフ
出演:スタラン・スカルスガルド、 ニーナ・ホス

別れた恋人たちの再会は ★★☆

ポルト」に続けて男と女の逢瀬の物語。
ただこちらは17年前に別れた元恋人たちの再会。
男と女は、相手との再会にそれぞれ何を求めていたのか。映画の惹き文句は「今ならもっと上手に愛せるのでしょうか」と意味深長(苦笑)。

ドイツの作家マックス(ステラン・スカルスガルド)は、新作のキャンペーンでニューヨークを訪れる。
彼はそれなりに成功した作家のようで、いろいろな場所で自作の朗読をして廻っている。自著へのサイン会にも列ができる。
そんな彼は17年前にこのニューヨークでレベッカ(ニーナ・ホス)と恋をして、そして別れていた。
彼女はどうしているのだろう? もう一度、彼女に会いたいぞ。

マックスを演じているステラン・スカルスガルドと言えば、「マンマ・ミーア」やマーベル・シリーズで活躍もしているが、印象的なのはやはりラース・フォン・トリア監督の作品群だろう。
特に、あの「ニンフォマニアック」。
印象としては、知識人で内省的、十分に常識をわきまえた大人の男性。
この映画では、初老を迎えようとしている男の自分勝手な思い込み、希望、欲望を、ああ、判るなあという感じで演じている。

一方のレベッカを演じるのは「東ベルリンから来た女」で印象的だったニーナ・ホス。
マックスが彼女の会社へ押しかけて再会する場面がある。
そのときのニーナ・ホスがすごい。
元々強い目力の女優さんだが、白のシャツに黒のタイトスカートできりりと大会社のビルから現れる。
マックスとの再会を拒否するような冷たい視線、態度。
彼女は大成功をした弁護士となっていて、高級マンションに住んでいたりもしたのだ。

マックスには事実婚の女性がいるのだが、なぜか、レベッカからモントーク岬への旅の誘いがくると、彼はほいほいと嘘をついて出かけてしまう。
モントーク岬はかっての二人の思い出の場所だったのだ。
もう一度レベッカとやり直せるのではないだろうか・・・。そうだったらいいなあ・・・。

男と女の恋心は複雑。
とはいっても、男は単純明快。過去の恋愛を引きずっていて、あわよくばもう一度と、自分勝手な期待を抱く。
判りにくいのが女心。
過去の恋愛は清算したのであれば、なぜマックスを旅に誘った? なぜ身体を重ねた?

モントーク岬の風景は美しい。
波と風が二人を押し包む。二人の心も波に揺らされ、風にあおられる。

この映画も、身勝手でどこか情けない男と、自分がいれば男は切り捨てられるという強さを持った女の物語だった。
何歳になっても初恋の相手を美化して思いだす男は沢山いるのではないかなあ(苦笑)。