2007年 アメリカ 157分
監督リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ、 デンゼル・ワシントン
警察と麻薬王の戦い。 ★★★☆
2大スターががっぷりと組んだ2時間半越えの骨太ドラマ。
実直な警察官にラッセル・クロウ、対するニューヨークの麻薬王にデンゼル・ワシントン。
さすがに魅せてくれる。
舞台は1960年代のニューヨーク、ハーレム。
黒人ギャングのフランク(デンゼル・ワシントン)は、ボス亡き後に、麻薬を東南アジアから直接買い付けるという独自ルートを開発する。
彼は競争相手のイタリア・マフィアなどを押しのけて、瞬く間に麻薬王となる。
一方の刑事リッチー(ラッセル・クロウ)は、警官なら誰もがやっている賄賂受け取りなどを一切しない実直な刑事。
そんな彼が麻薬捜査班のチーフに任命され、地道な捜査を続けていく。
この映画は実話を元にしているとのこと。
だから一大勢力を誇った黒人麻薬王がおり、その彼を追い詰めた真面目刑事が、実際にいたわけだ。
この映画の特徴としては、、フランクとリッチーの両者を思い入れが偏らないように撮っていること、があげられる。
二人とも自分の置かれた立場で真面目に(?)頑張っていることを、観る人に伝えてくる。
麻薬中毒者を生み出すような仕事が悪であることは当然のことだが、フランクの人間性もきちんと描かれている。
儲けたお金で豪邸を購入し、貧乏暮らしだった母親を住まわせる。
貧しかった兄弟たちの生活も、自分の仕事を手伝わせることによって安定させる。
善悪の基準が一般人とは違っているのだが、彼もまた家族を思い、一生懸命だったわけだ。
リッチーはその融通のきかなさから仲間からは孤立している。
離婚をしている私生活では、元妻と子どもの養育権を法廷で争っているような状態。
一般の社会性からはちょっと外れてしまっているような人物なのかもしれない。
こうした主人公たちの人間性が重みを持っている。だから映画が軽滑りをしていない。
二人のそれぞれの世界が描かれる前半はやや冗長な感じがしないでもないが、二人が絡み始めるあたりからはぐいぐいと引きずり込まれる。
脇役で、悪徳汚職警官役でジョシュ・ブローリンが出ているのだが、彼が好い。
リッチーの捜査の邪魔をしたり、フランクにこっそりと賄賂を要求したりと、もう憎らしいことこのうえない悪徳ぶりである。
彼の人間性が徹底的に悪徳なので、やっていることはずっと悪いはずのフランクの人間性が悪徳ではないように思えてくるほど。
最後近く、取調室でのフランクとリッチーの駆け引きも息づまるよう。
実話ベースなので、その後の二人のこともテロップで説明が出る。ああ、そうなったのか・・・。
ちなみに、原題の”スター”は花形の意味ではありません(私はてっきりそうかと思っていたのですが 汗)。
”ギャングスター”一語で、”ギャングの一員”、”ギャングの一人”といった意味合いのようです。