2014年 インド 113分
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ヘレン・ミレン
料理を題材にした人情ドラマ。 ★★★
料理を題材にした映画には好きなものが多い。
先日観た「シェフ」も好かったし、かなり前の作品では「幸せのレシピ」なんてのも好かった。
美味しそうな料理は出てくるし、その美味しそうな料理を食べて幸せになる人も出てくる。
この映画の舞台はフランス。
そこで移民でやって来たインド人一家が開いた料理店と、古くからのフランス料理店の対立が、コミカルな人間ドラマとして描かれる。
インド人一家の次男ハッサンは、死んだ母の教えによって天才的な料理人の素質を持っていた。
そのインド人一家は、お父さんの「ここが気に入った!」のひと言でインド料理の店を開くことにしてしまう。
フランス人はインド料理なんか食べないんだよ、という家族の反対なぞ、まったく聞き入れない。
おまけに、この向かいはミシュラン一つ星のフレンチ・レストランだよ。場所も悪いよ。
そんな家族の意見にも耳を貸そうとしない。
タイトルのマダム・マロリー(ヘレン・ミレン)は、そのフレンチ・レストランの誇り高きオーナー。
私の店の向かいにレストランをオープンするなんて、どういう神経をしているのさ。
ふん、どうせ誰にも相手にされないわよ。
かたや頑固なインド人一家のお父さんも愉快な人物。
客を集めるために店の前にケバケバしいインド風の電飾はするわ、陽気なインド音楽をガンガンと鳴らすわ。
当然ながら上品思考のマダム・マロリーはおかんむり。
お父さんとマダムの(低次元の)喧嘩が始まる。
あまりに二人ともムキになっているので、かえって微笑ましいぐらい。
しかし、ハッサンの腕は大したもので、インド料理店もそれなりに繁盛していく。
そのハッサンは、マダムの店の副料理長マルグリットに惹かれていく。
彼女の方も、いろいろと料理の本を貸してくれたり、こっそりとマダムのことを教えてくれたり。
これではまるでロメオとジュリエットのようではないか(笑)。
タイトルからは、主人公はマダム・マロリーだと思ってしまうところだが、実はハッサンの方。
心優しく、美味しい料理を作りたいと願う純真なハッサン。
そんな彼が作ったオムレツを味見したマダムは・・・・!
(以下、ややネタバレ気味)
こういう風に、それまで対立していた敵が相手のが真の実力を認める、という展開は好いよなあ。
と、なんやかやがあって、ハッサンはマダムの店で働くようになる。
するとあっという間にマダムの店のミシュランの評価は・・・。
とこうしてハッサンの料理の腕の評判はうなぎ登りになり・・・。
ラッセ・ハルストレム監督なので、温かい眼差しが登場人物たちに注がれています。
ハッサンの波瀾万丈の人生も、ああ、好かったね、という展開になり、気持ちよく映画は終わっていきます。
そして、この映画を観ると、インド風スパイスのきいた料理を食べたくなりますよ。