2015年 アメリカ 121分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エイミー・ブラント、 ベニチオ・デル・トロ、 ジョシュ・ブローリン
麻薬捜査サスペンス。 ★★★
あの「灼熱の魂」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督である。
この映画も最初から最後まで重い映画だったが、変な言い方になるが、それは単純明確な重さだった。
主人公は、麻薬組織壊滅のための特殊チームにスカウトされたFBI捜査官のケイト(エイミー・ブラント)。
チームのボスはふてぶてしいマット(ジョシュ・ブローリン)。
まあ、新参者は何もしないで後の方で眺めていな。邪魔だけはするなよ。
なぜチームにいるのか分からないようなコロンビア人のアレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)もいる。
何かチームの雰囲気は胡散臭い。
これまで正々堂々と仕事をしてきたケイトは戸惑う。私は何をすればいいの?
作戦の狙いは、メキシコの麻薬組織“ソノラ・カルテル”の壊滅と最高幹部マヌエルの拘束。
チームは国境を越えてメキシコに向かう。
そこでおこなわれる作戦は、法の手続きも無視したような荒っぽいものだった。
ケイトは愕然とするが、マットはうそぶく、手段は選ばないぜ。上の方からの許可は出ているんだ。
ケイトは初めての任務なので、えっ、そんなことをするのがこんな場合の方法なの? こんなことまでしてしまっていいの? と戸惑うことばかり。
観ている者も、ケイトと同じ視線で事件の推移を見ているように作られている。
これは巧いやり方。
マットの”これがこの世界での常識なんだ”と言わんばかりの強引さや、アレハンドロの”知らない者は口出しするな”というやり方に、ああ、そうなのか、と思わされてしまう。
やがて怪しげだったアレハンドロがチームに加わっていた秘密が明らかになってくる。
終盤はアレハンドロが主役と言っても好いような展開となっていく。
少しふっくらとした体型になったデル・トロが、凄まじい演技を見せてくれる。
そして、ケイトがなぜ特別チームに抜擢されたのかも判ってくる。
そうだったんだ・・・。
緊張の連続なので、見終わるとぐったり疲れる映画でした。
麻薬戦争では、常識のボーダーラインなんかないのだと思わされました。