2007年 イギリス 100分
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、 ナオミ・ワッツ、 ヴァンサン・カッセル
バイオレンス・サスペンス。 ★★☆
クローネンバーグ監督作は「コズモポリス」でちょっとこけた感じだったので、ひとつ遡って、これはどんなだろ?
助産婦のアンナ(ナオミ・ワッツ)は、病院に運び込まれてきた10代の幼い妊婦の分娩に立ち会う。
赤ん坊を産んだ直後にその少女は亡くなってしまう。
赤ん坊とともに残された少女のバッグからは、ロシア語で書かれた日記が出てきた。
アンナは、孤児となった赤ん坊のために少女の身元を調べ始める。
平和な日本に暮らしていては想像もできないような怖ろしいことが、外国では実際に起こっている。
パリでは本当に誘拐事件があるという(あのリーアム・ニーソンの「96時間」もそれが元だった)。
ロシアン・マフィアによる人身売買というのもときどき目にするし・・・。
酷い連中というのは本当にいるのだなあと改めて思わされる。世界は怖ろしい。
ロシア語の分からないアンナは、少女の身元を訊ね歩くうちに一軒のロシア料理店に行き着く。
実はここが危ない場所だったのだよ。
親切そうな店主は、ロシア語を訳してあげようと言って日記を手に入れようとしたりして、なにか胡散臭そうだし。
そしてそこで運転手だというニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)と出会う。
このニコライが只者ではないオーラを登場したときから放っている。
ただの運転手にしては存在感がありすぎる(笑)。
なにくれとアンナにつきまとったりする。優しいのか、それともアンナを手玉に取ろうとしているのか。
いったい彼は何を考えている? なにを企んでいる?
ロシア・マフィアのボスの息子を演じるヴァンサン・カッセルが好かった。
プライドばかり高くて、なんとか運転手のニコライを見下そうとする。
そのくせまるで駄目なヘタレぶりを巧みに演じていた。
小悪党という感じがよく出ていた。
さて、クローネンバーグ監督だとバイオレンスということらしいのだが、ヴィゴ・モーテンセンのサウナ風呂での大格闘には驚いた。
だって、サウナ風呂だから全裸! その姿で大格闘!
いやが上にも見えてしまう。だって、全裸(笑)。
カミソリのように研ぎ澄まされた雰囲気が漂う映画。
緩むところはなく、情感なんて甘っちょろいものもできるだけ遠ざけようとしている感じ。
次はいよいよ世評の高い「ヒストリー・オブ・バイオレンス」鑑賞かな。