2005年 日本 132分
監督:源孝志
出演:豊川悦司、 田口トモロヲ、 原田知世、 吉川晃司、 寺島しのぶ
田口智子、 宇津井健、 淡島千景
クリスマス・イブの群像劇。 ★★★☆
こんな年明けにクリスマス・イブの映画かよ(苦笑)。
雪が降りはじめるイブの夜に東京の街は停電になってしまう。
そんな一夜の12人の群像劇。
出演陣は豪華である。
たとえば、地下鉄も止まってしまい、産気づいた昔の恋人(寺島しのぶ)をおぶって病院に向かう元ヤクザ(吉川晃司)。
重病の父に出生の秘密を打ち明けられた男に田口トモロヲ。
彼は愛人と別れる決意をしたのだが、すでに妻(原田知世)は離婚を考えていた。
田口トモロヲから別れを告げられた女(井川遙)は、中国人のベルボーイと一緒にホテルのエレベーターに閉じ込められてしまう。
彼らはどこかで互いに繋がっていたりする。
ロウソクの灯りの中で老妻(淡島千景)は、結婚前に生んだ子がいると、夫(宇津井健)に打ち明ける。
その子は田口トモロヲである。
閉店を決めたジャズ・バーのマスター(豊川悦司)は、最後に昔の彼女に会いたいと思っているのだが、その彼女は原田知世である。
秘かに豊川悦司に好意を寄せているのは、向かいのキャンドル・ショップの田畑智子。
手作りのロウソクでバーにほのかな明かりを灯す。
彼女が脇役的な立ち位置なのだが、物語の雰囲気に合っていて、好かった。
12人の登場人物の行動には必ずしも共感できないことも多い。
田口トモロヲは今になってわざわざ生みの母に会いに行くか。
原田知世が豊川悦司に会いに行ってしまったのは、わからなくもない。
そして店には入らずに引き返す、その選択もうなずける。
ツッコミどころも少なくない。
宇津井健が寺島しのぶと吉川晃司を見かけて病院へ送るのはいいのだが(もちろん、そこはに田口トモロヲの父が入院している)、その車は無断拝借していたものであり、おまけに飲酒運転までしている。
それに、吉川晃司サンタはどこであのプレゼントを用意したんだ?
それでも、甘ったるい一夜だけの群像劇は雰囲気があって好かった。
豊川悦司と田畑智子がいるジャズ・バーには、ロウソクの明かりに惹かれるように宇津井健、吉川晃司、井川遥がやって来る。
それぞれの人生がひととき触れあって、また離れていく。
音楽もなかなか好くて、誰かなと思っていたら、菊池成孔だった。
なるほどな。
(彼のCD「南米のエリザベス・テイラー」は愛聴盤です。特に2曲目の「京マチ子の夜想曲」は好いです)
長い夜が明けて、人々の新しい一日がはじまる。
内容にはかなり甘い設定もあったのだが、それでも何となく好きな映画というのがあり、これはその一つ。
全体の雰囲気が好きなのかなあ(苦笑)。