2016年 韓国 116分
監督:ユン・サンホ
出演:コン・ユ
ゾンビ・パニック列車。 ★★☆
純粋な鉄道パニック映画だと思って観始めたら、えっ、これ私の苦手なゾンビ映画?
ありゃあ。
発端は、早朝のソウル駅から走り出したプサン行の高速鉄道に謎の感染者が転がり込む、というもの。
これがゾンビ菌(笑)の感染者で、彼に噛まれた人は感染してゾンビになってしまう。
ゾンビは列車の中でまたたく間に増えていく。
似たようなシチュエーションで思い出すのは「カサンドラクロス」。
やはり高速列車に感染者が乗りこんでという発端だったが、あちらはまったくのガチのサスペンス映画。
怖ろしい陰謀も絡んでくるという社会的背景もあるもの。
かたや、こちらは王道のゾンビ・パニック映画。
しかし、この映画は乗客の人間ドラマもかなりきっちりと描いている。
仕事人間で家族を顧みなかった男は必死に娘を守ろうとする。
妊娠中の妻を何よりも大切にしているチョイ悪親父もいる。
彼は始めは粗暴な奴という感じだったのだが、物語が進むにつれて一番好い奴なんじゃないかと思えてくる。
憎たらしいやつも出てくる。
自分が助かるためには他人を犠牲にすることも厭わないような男。こんな奴って、いざとなるとあらわれそうだよなあ。
極限状態になったときにその人の本性が一番現れる。これは真実なのではないだろうか。
襲ってくるゾンビから逃げまどうパニックものだが、その舞台を疾走する高速鉄道という閉鎖空間にしたのはお見事。
逃げ方に制約がある。だからハラハラ感がわかりやすい。
上手い作り方である。
今回のゾンビのルール。見えないものは襲わない。
だから視力が失われる暗闇ではおとなしくなる。
トンネル内を通過しているときはゾンビは温和しいのだ(車内の明かりはどうなったんだっけ?)
これを巧みに利用した列車内の逃亡劇も見応えがあった。
それにしてもこの邦題はどうよ。「新感染」? オヤジギャグかよ(汗)。
世評はかなり好いようだ。
ゾンビ嫌いの私でも楽しめました。