あきりんの映画生活

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シャンプー台のむこうに

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2000年 イギリス 95分
監督:パディ・ブレスナック
出演:アラン・リックマン、 ナターシャ・リチャードソン、 ジョシュ・ハートネット

家族が絆を取り戻すハート・ウォーミング・ドラマ。 ★★★

ジョシュ・ハートネットは父と一緒に片田舎で理髪店をしている。そんな彼の街で全英美容師大会が開かれることになる。恋人と駆け落ちをして出ていった美容師の母親が10年ぶりに戻ってきて、かっては大会の優勝者だった父親と一緒にチームを組んで出場しようと持ちかける。

物語の基調は、一度崩壊した家族が母親の末期癌をきっかけに家族の絆を取り戻していく、という暗い状況なのだが、嫌みのないユーモアの部分が随所にあって、バランスをうまくとっている。

ジョシュ・ハートネットはまだ若々しく脇役で、主役はなんといってもアラン・リックマンナターシャ・リチャードソンが演じる夫婦。
ナターシャが駆け落ちした相手はアランの元モデルで男ではなかったというところが、このドラマをあまりどろどろとした雰囲気にしていない。

要になる美容師大会は村の小学校講堂のようなところで開かれていて、それほど権威のある大会にみえない。だからこの大会にかける出場者の意気込みがもう一つ伝わりにくい。
競技大会での種目になっているブローや、ヘア・カットなど、出来上がりはあっと驚くような意表をつく斬新なものばかり。プロはここまでやるのか、と思えて、これはこれで面白かった。

母親が末期癌であることを知った息子も父親も、意外なほど悲しみを表にあらわさない。そのため映画自体でも、母親の髪が抜けていることや、鎮痛剤の服用などはあるが、深刻さは感じさせずにさらっと流している。
それを、物語に深みが足りないとみるか、ほのぼのとした物語をあっさりと観ることができて成功しているとみるか、ちょっと微妙なところはある。

大会の司会をする市長が、はじめは木訥な感じだったのに、大会がすすむに連れて髪型がリーゼントになっていき、ついにはロックンロールを歌い出してしまうほどに変貌するのも愉快であった。
余談だが、邦題に使われているシャンプーの場面は映画では一度も出てこなかったような気がするぞ。

こじんまりとした感じの、どちらかといえば人情喜劇。
観て損はしません。