2006年 アメリカ 121分
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ジョシュ・ハートネット、 アーロン・エッカート、 スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンク
謎が錯綜するサスペンスもの。 ★★★
ジェームズ・エルロイの同名小説の映画化作品。
エルロイのL.A.4部作の第1作目ということで、そのシリーズ原作の「L.A.コンフィデンシャル」のような雰囲気を期待して鑑賞した。
しかし実際のところは、それほどすかっとする物語ではなかった。
多くの登場人物が入り乱れて、かなり注意していないと混乱してくる。
1940年代にロサンジェルスで実際に起こった猟奇殺人事件を題材にしている。
(現実のブラックダリア事件は未解決のままだそうだ)
胴体を真っ二つに斬られたエリザベスという女優の卵の死体が発見される。
親友でもあるロサンジェルス市警のバッキー(ジョシュ・ハートネット)とリー(アーロン・エッカート)が捜査に当たる。
捜査によって、その背後にあった大きな陰湿な謎が明かされていく、という筋立て。
リーの恋人役ケイにスカーレット・ヨハンソン、そしてエリザベスによく似た女という設定の富豪令嬢マデリン役にヒラリー・スワンク。
豪華な顔ぶれである。
しかし人間関係はどんどんややこしくなっていく。
事件の捜査に深入りしていくリーは次第に常軌を逸しはじめたり、ケイの元ヒモのヤクザが出所してきたり。
そしてマデリンに近づいたバッキーが誘惑に負けてしまったり。
おまけに、謎の殺人者が現れてリーを・・・。
この映画の評価は芳しくないようだ。
登場人物が混乱して物語が頭に入らない、とか、サスペンスなのか男女の微妙な恋物語なのか、どっちつかず、とか・・・。
たしかにその意見のどれもがごもっともということになる。
スカーレット・ヨハンソンが幸せ薄い女性を演じて、儚げで美しい。
一方のヒラリー・スワンクはふてぶてしさを纏ったような悪女ぶりがたのもしい。
最後の方でキー・パーソンとしてあらわれるマデリンの母親もすごい迫力だった。
しかし、最後の事件解決に向かう場面は、ええっ、そんな方向に向かってしまうの、という感じだった。
デ・パルマ監督は(器用に)いろいろな作風で映画を撮る。
好い時はすごく好いのだが、この映画では監督の悪い面があらわれてしまったよう、というのは失礼か。
決してつまらないということはないのだが、なんだかなあ、という思いが残ってしまう。
あのあと、バッキーとケイは上手くやって行けたのだろうか?