1997年 アメリカ
監督:マイク・ニューウェル
出演:アル・パチーノ、 ジョニー・ディップ
FBIの潜入捜査官とマフィアの男たちの友情と葛藤。 ★★★
うだつの上がらないチンピラ・マフィア、レフティ(アル・パチーノ)のところへ潜入したFBIのドニー(ジョニー・デップ)。
切れ者のドニーの活躍で次第に出世していくレフティは、ドニーに対して息子のように信頼して接する。
これはマフィアものの映画ではあるのだが、はでな抗争場面がふんだんに出てくるようなものではない。
騙している男と、騙されている男の友情を描いた人間ドラマである。
騙している男にも葛藤がある。
潜入捜査が危険になり、FBIはドニーに引き揚げてくるように命じる。
しかし、今自分が消えたら潜入捜査がばれて、レフティは責任を責められて組織によって殺されてしまう、そう考えるドニーは組織の中にとどまるのだ。うん、いいなあ。
アル・パチーノが実にいい。さえないマフィアの雰囲気に、哀愁すら漂う。
とてもあの『ゴッドファーザー』ではドンを演じた人と同一人物とは思えないほどの演技であった。
目をかけて信じていたドニーの正体を最後に知ったときの表情、自分が裏切られていたのだと悟ったときに、レフティは「どうせこうなるのなら、お前(ドニーのこと)でよかったよ」と言う。
そして消えていく。
マフィアものだが派手さはなく、しっとりとした余韻です。