2006年 アメリカ 98分
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:カート・ラッセル、 ジョシュ・ルーカス、 リチャード・ドレフィス
「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイク。 ★★
パニック映画の傑作と言えば、なんと言っても「タワーリング・インフェルノ」とこの映画のオリジナル。
さあ、その傑作をどのようにリメイクしたのか?というところだったのだが・・・。
CG技術の発達によって、大津波や転覆する豪華客船、浸水する客室、転げ落ちていく人々など、パニック状況の画面はオリジナルの何倍も迫力が増している。
それなのに、映画自体の面白さは薄くなってしまっている。
その大きな原因は、このようなパニックものでは常道とも言える導入部分の人物描写が不十分だからだと思える。
パニックものでは、次々に展開される困難な状況でどのように対応していくのか、どのような葛藤がおこるのか、それを楽しみたい。
そのためには登場人物にある程度の感情移入ができていないと辛い。
この映画ではそれが決定的に欠如しているので、ただの平板な脱出劇になってしまった。
だから脱出に失敗して亡くなった人がでても、それだけ、で終わってしまう。
映画の展開に伴って揺れ動く感情がなかった。
監督としては、あまりにも名作の誉れが高いオリジナルがあるものだから、独自性を出すためにあえて人物描写を切り捨てて迫力画面で勝負しようとしたのだろうか。
そういえばこの監督は大津波がやってくる「パーフェクト・ストーム」も作っているのだった。
人間ドラマのような深いものは求めずに、単純にパニック映画の画像を楽しみたい、というときに。