あきりんの映画生活

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ベオウルフ/呪われし勇者

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007年 アメリカ 
監督:ロバート・ゼメキス
出演:レイ・ウィンストン、 アンソニー・ホプキンス、 アンジェリーナ・ジョリー

フルCGで作られた英雄伝説。 ★☆

物語は6世紀のデンマークを舞台にした英雄ベオウルフの冒険譚。
人々を襲う怪異なグレンデルを退治するためにやって来たベオウルフは、見事にその片腕を切り落とし目的を達するのだが、復讐に燃える美しいグレンデルの母親の魅力に負けてしまう。

パフォーマンス・キャプチャーという技術を使ってのフルCG映像とかで作られている。
たぶんに違和感がある映像で、人物もどこかリアリティがない。どの人物も、コンピューター・ゲームの登場人物を思わせる。
グレンデルの母親役のアンジェリーナ・ジョリーも、妖しく美しいのだが、大いに違和感のある顔立ちであった。

冒頭で襲ってくるグレンデルの造型もお粗末なもの。下手な漫画を元にしたのではないかと思えてしまうような怪異さで、幼児性と残虐性のみを強調している。
おそらくは異民族の襲撃が原作では下地にあると思うのだが、そのような意味あいは全く感じられない。

そうすると、監督ゼメキスがこの英雄譚を通して伝えたかったものは何だったのだろうと立ち止まってしまう。
(ネタバレ)
グレンデルにしても、後に出てくるドラゴンにしても、グレンデルの母親の誘惑に負けた王や英雄が産ませているわけで、対峙しているのは我が子ということになる。
(もちろん、この怪異との情交のあたりはこの映画独自の解釈で、元の伝説にはない)
性的誘惑に負けてしまった罪の結果として(アダムとイブのような原罪の意味あいがある?)、父子相克からくる子殺しにつながっていくことになる。
う~む、キリスト教文化圏の人々には分かりやすい解釈なのだろうか。

(余談)
女性詩人・永瀬清子の処女詩集は「グレンデルの母親」というタイトルであった。同名の作品も収められている。