2001年 アメリカ 121分
監督:イアン・ソフトリー
出演:ケヴィン・スペイシー、 ジェフ・ブリッジス、 メアリー・マコーマック
SFタッチのヒューマン・ドラマ。 ★★★
K-PAXという異星から来たと称するプロート(ケヴィン・スペーシー)は精神病院に入れられ、医師マーク(ジェフ・ブリッジス)の治療を受け始める。
プロートは天文学者が未だ発表していなかった天体運行図を鮮やかに書いてみせたりして、入院患者にもいろいろな良い影響を与えはじめる。
さて、この人物は何者だ?
主人公二人の知的な会話が主体となってストーリーがすすむ。
いったいプロートは本当に宇宙人なのか、それともただの妄想狂者なのか、それを迷いながら観ていくことになる。
いわば、これは想像力を楽しむ映画である。
とにかくケヴィン・スペーシーとジェフ・ブリッジスの2人が素晴らしい。
淡々とストーリーがすすむのだが、2人が次第に信じ合うようになっていく微妙な関係が心地よい。
入院患者にいろいろと助言するプロートに、マークは直すのは医者である私の仕事だ、という。
すると、それなら直せよと、当たり前のことのようにプロートが答えるところが面白い。
実際彼は入院患者の心を開いていく。
潔癖症だった黒人青年はマスクをはずすし、ひたすら自分の王子様を待っていた老婆は部屋から出てくるようになる。
微笑ましくていい。観ているこちらも次第に心が開かれていくようだ。
K-PAXに戻っていった(と、私は解釈したのだが)プロートによってマーク自身の心も洗われて、不仲だった息子と会う最後もいい。
プロートから託されたあの患者にマークが話しかけながら車椅子を押している場面もしみじみとした余韻を残す。
良い映画だった。
少し趣は違うが、未来からやって来たタイム・トラベラーなのか、それともただの精神異常者なのか、というところを題材にしたものとしては「ハッピー・アクシデント」があった。
あれも面白い作品だった。
この映画が良かった人なら、きっと気に入るでしょう。