あきりんの映画生活

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「海辺の家」 (2001年)

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2001年 アメリカ 125分
監督:アーウィン・ウインクラー
出演:ケビン・クライン、 ヘイゼン・クリステンセン

父と息子の交流もの。 ★★★☆

死期のせまった父親が、海辺の壊れかけた家を建てなおす、それにともなって疎遠だった父息子が絆を深めていく。
はっきり言って、物語の大筋は”よくある”もので、狙い所ももう見え見え。。
しかし、それを嫌みのない展開で見せてくれる。
いつの間にか、こちらの気持ちも素直に寄り添って観ることができた。これは好い映画だなあ、と。

離婚して一人暮らしのジョージ(ケヴィン・クライン)は、海を見下ろす崖の上の古い家に住んでいる。
彼は建築デザイナーの仕事を首になり、おまけに余命3ヵ月との宣告を受けてしまい、最後のこととして親から譲られた家を建て直そうとする。

ジョージは天衣無縫に生きているようなのだが、父親から暴力をふるわれながら育ったという過去がある。
親の建てた家を新しいものにするということには、その過去を清算するという意味合いがあったのではないだろうか。
それは、自分と自分の息子の関係を新たに作り直すということにもつながっていく。
実は、それこそがジョージが自分の人生の最後にしておきたかったこと。

再婚した妻が引き取った息子サム(ヘイデン・クリステンセン)は、継父との確執からグレている。
サムは世間に拗ねていて、鼻ピアスはしているわ、部屋に内鍵を付けて親を入れないわ、大麻まで吸ったりしている。
こんな息子とどうやって向きあうんだと心配になるほど、どうしようもなくふてくされた息子。

その息子を強引に連れ出し、家の工事を手伝わせるジョージ。
まず家の解体を手伝わせるのだが、壁を壊したりするのを意外にもサムは面白がったりする。
男の子はこういう壊すのって好きだから、ねえ。
クリステンセンは「スターウォーズ」のときよりも、はるかによかった。

ちょっと嫌みな奴も出てくるが、基本的には皆、善い人である。
別れた奥さんも二人のために食事の差し入れに来るし、向かいにはサムの幼なじみの女の子も住んでいる。
そんな中で次第に家が建っていく。
それにともなってジョージとサムの間にあったわだかまりも修復されていく。

最後まで悲壮感を押しつけてこないところがよかった。自然な形。
最後に崖の上からサムが海に飛び込む場面がある。それはジョージがサムにやってみせたことだったのだ。
ああ、と思わせる場面だった。

ここでちょっとした疑問。
別れた奥さんはジョージのよき理解者のようなのだけれど、それなら何故離婚したのだろう?
ま、いいか。いろいろあったんだろう・・・。

こんなエピソードは要らないんだけどなあ、という部分もありますが、気持ちよく観ることができます。
地味な落ち着いた映画です。
良い映画です。