あきりんの映画生活

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「アルカディア」 (2017年)

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2017年 アメリカ 117分
監督:アーロン・ムーアヘッド
出演:アーロン・ムーアヘッド

カルト団体、そしてオカルト? ★★★☆

 

幼い頃に自給自足の村“アルカディア”で育った兄弟。
そこはカルト集団の村のようだったのだが、2人は10年前にそこから脱走してきたのだった。
今は街で暮らす二人だが、どうも世間とは馴染めない。

 

そんなときにビデオテープが送られてくる。
そこには村で一緒に育った女性が映っていて、村人は全員「昇天」したと言う。
昇天とは集団自殺のことか? 兄は集団自殺から逃げるために村を脱走したのだと言う。

 

弟はもう一度だけ村を訪れてみようと言いはじめる。
始めは反対していた兄も、一泊するだけだぞということで了承する。
で、二人が村を訪れると、10年前と少しも変わらない村人たちは優しく二人を迎えいれてくれる。

 

アルカディア”というのは、一般的には理想郷をあらわすようだ。
では、この映画のアルカディアは?
あれ?村の人たちは10年前から歳をとっていないように見えるぞ。

 

二人が村人たちと接していると、説明のつかない現象が次々に起こる。
しかし村の人々はそれが当たり前のことであるかのように事前に受け入れている。
この村は何かおかしい。
闇に閉ざされた空にのびるロープ。それを力一杯引っ張るのが”苦闘”なのだが、そのロープに引き上げられてしまうと・・・。
そして夜空には月が2つあるのだ。これは?

 

兄は何とかしてこの村から逃げだそうとするのだが、弟はこの村に残りたいと言いはじめる。
さあ、どうする?

 

(以下、ネタバレ)

 

実は、この村の住人達はその人ごとの周期でタイムループをしていたのだ。
ある人は1週間経つと、また1週間前の自分に戻ってしまう。
またある人は10分ごとに同じことをくり返しているのだ。

 

同じ仲間でありながら、そして同じ場所で暮らしながらも、人々はそれぞれに永遠に繰り返しの人生を送っている。
歳を取らずに生きているのだが、それは苦行以外の何ものでもないではないか。

 

私は宗教には疎いのだが、ここにはひょっとするとキリスト教の罪と償いがあるのかも知れない。
始めに”昇天した”ということは、カルト集団の村人たちは集団自殺をしたのであり、その罪から逃れられないでいるのではないか。
そのためにこの”アルカディア”で繰り返し生きるという苦行を課せられているのではないか。

 

しかし、そんな堅苦しいことは考えなくても、この映画を楽しむことは充分にできる。
訳の分からない不気味な世界が、恐怖となってゆっくりと取り囲んでくる。
おそらくは非常な低予算映画だと思うのだが、好くできていました。

 

(おまけのひと言)
原題は”エンドレス”。なんだよ、それ。まるっきりネタバレじゃん。
原題を知らずに観る方が絶対に楽しめます。