あきりんの映画生活

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「セリーナ 炎の女」 (2014年)

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2014年 チェコ 109分
監督:スザンネ・ビア
出演:ジェニファー・ローレンス、 ブラッドリー・クーパー

夫婦の愛憎劇。 ★★★

 

監督は好きなスザンネ・ビア。出演はともにアカデミー賞受賞者のジェニファー・ローレンスブラッドリー・クーパー
この組み合わせで、どうして今作は一般公開されなかったのだろう?
アメリカでの評判はもうひとつだったらしいが、今作よりしょうもない映画がたくさん劇場公開されているというのに。

 

物語の舞台は、1929年の山のなかの製材所。
そこのオーナーのジョージ(ブラッドリー・クーパー)は、火事で家族を失ったセリーナ(ジェニファー・ジョーンズ)を見初めてすぐに結婚を申し込む。
運命のような出会い、そして強い愛とそれに裏付けられた信頼。
林業にも卓越した知識を有していたセリーナは、公私ともにジョージの良き伴侶となっていく。

 

このあたりの山のなかの生活は雰囲気も充分に描かれていた。
ちょっとあか抜けない美しさ(失礼 苦笑)のジェニファーが、勝ち気なヒロインを演じている。
しかしその一途さがなにか危うさも孕んでいるように思わせる。
実は結婚前のジョージには愛人がいて、彼の子どもも産んでいたのだ。
そんなことを、もしセリーナが知ったら・・・。

 

やがて妊娠したセリーナだったが、ある事故のために流産し、子供を産めない体になってしまう。
そのことを知らされたときのジェニファーの絶望的な表情は巧みだった。
そのうえに彼女はジョージに隠し子がいることまで知ってしまう。
なんということ! 私は子どもを作れない身体になってしまったというのに、彼の子どもがいるなんて!

 

このあたりからセリーナは”炎の女”ならぬ”狂気の女”となっていく。
セリーナに命を助けられたことから彼女を絶対崇拝する作業員もいたりして、彼女の狂気が怖ろしい事態を生みそうになっていく。

 

たしかに物語にはそれほど新鮮なものがあるわけではない。
どちらかといえば、中世の男女の葛藤を描いた文学作品を、舞台を山中に移して再現しているような感じではある。
だから、終盤のサスペンス要素の入った部分も、ある程度は予想のつく範囲内ですすんでいく。

 

しかし、決してつまらない作品ではない。
なによりも主役二人には、物語を支える華がある。充分に見応えはある。
どうして一般公開されなかったのかなあ?(苦笑)