2018年 アメリカ 140分
監督:フランシス・ローレンス
出演:ジェニファー・ローレンス、 ジョエル・エドガートン
女諜報員もの。 ★★★
もっとアクションがメインなのかと思っていたのだが、裏工作と裏切りによる駆け引きによるスパイものだった。
それもハニー・トラップを駆使して・・・。
シャーリーズ・セロンの「アトミック・ブロンド」や、アンジーの「ソルト」とはまったく雰囲気が違った。
天才バレリーナだったドミニカ(ジェニファー・ローレンス)は、妬みを受けて再起不能な怪我を負わせられる。
そんな彼女を、情報部幹部である叔父のワーニャがスパイ養成機関へ入れる。
病気の母の治療費のためにドミニカはそれを受け入れる。
何が凄いって、養成機関での訓練。
そこでは格闘技の訓練というよりも、心理作戦の訓練がおこなわれていて、ターゲットの欲望を見抜いて操る手練手管を訓練する。
自らの肉体のずべてを使い、心を捨てて国家に尽くせ!
ロシアってこんなことを本当にしているのだろうか?
他の訓練生たちの前で全裸にさせたり、さては性交を命じたり・・・。
実際にこんな訓練もしていそうに思ってしまうところがロシアという国の不気味さである(ロシアの方、ごめんなさい)。
この映画の売りは、やはりジェニファー・ローレンスの体当たり演技だろう。
ジェニファーはかなり豊満な肉体の持ち主であるが、それをここまでも見せるのか、そんなところの演技までするのか、と、正直なところ驚いた。
訓練のクライマックスのような場面は、男性だったら(いろいろな意味で)強烈な印象を残してしまうだろう。
(あの相手の男、この先一生不幸なんじゃね?と思ってしまったのは私だけ?)
ここの教官にシャーロット・ランプリング。冷酷無慈悲に訓練をおこなっていく。
彼女もかっては優秀な諜報員だったのだろう、実際に修羅場をくぐり抜けてきて今の冷酷さを身に着けたのだろうと思わせる。
さすがにランプリングだった。
さて後半、実際の諜報活動に入っていくのだが、物語はかなり混乱する。
彼女の使命は、ロシア情報庁の内部にいるアメリカの二重スパイ(モグラ)を突き止めること。
で、ハニー・トラップを駆使してアメリカの諜報員に近づいたり、ロシアの指令を裏切ってみたり。
作戦が失敗したのでは?と思える局面になっても、これは敵を油断させるための作戦よ、とどんでん返しをする。
それ、本当に最初からの作戦だった?
過酷な拷問画面も随所に出てくる。
全裸にしての水攻めや、タオルを当てての力いっぱいの殴打、挙げ句の果てには特殊器具を使っての皮剥ぎ。
う~ん、ロシアでは実際にやっていそうに思えてしまうところが怖ろしいぞ。
(以下、ネタバレ気味)
物語は、最終的にはドミニカのある種の復讐劇となっていく。
それには意外性もあり驚いたのだが、復讐を果たしてもやはりドミノカは国家に囚われた”雀(スパロー)”でしかない。
そこがなんとも重く辛さを感じさせる。
ということで、「アトミック・ブロンド」の爽快さとは比較にならないどんよりとしたスパイものでした。
それでも印象に残る映画になりそうなのは、私がジェニファー・ローレンスのハニー・トラップにかかったから?(苦笑)