あきりんの映画生活

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「冷たい晩餐」 (2017年)

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2017年 アメリカ 120分
監督:オーレン・ムーバーマン
出演:リチャード・ギア、 ローラ・リニー、 レベッカ・ホール

そのとき、親はどうする? ★★★

 

登場人物は兄弟夫婦とその子ども達3人。
その兄弟夫婦がおこなう高級レストランでの会食が主な舞台。
ということで、4人の会話劇のような雰囲気で映画は進み、その途中途中に回想画像が挟まるという構成。

 

知事選に立候補予定の議員スタン(リチャード・ギア)と妻のケイトリンがディナーに、スタンの弟のポールと妻のクレアを招く。
社会的に成功者の兄に対して、どこか鬱屈した思いを抱いているようなポールは嫌々ながらこの夕食会にやってくる。
当たり障りのない、しかしどこかぎくしゃくとした世間話。
4人の人間関係がうかがわれるような微妙な空気の会話が交わされていく。

 

始めのうちはポールがまともで、スタンは鼻持ちならない嫌な奴だなと思いながら観ていた。
しかし、ポールは実に問題ありの人物だったのだ。
誰もいない教室で一人で講義をしているポールの姿にはぞっとした。
スタンの方がよほど常識人で思慮深かった・・・。

 

しかし、食事が進むうちに会話はある事件についてのものになっていく。
それは、仲の良いそれぞれの 16 歳の息子たちが起こしたある事件についてだった。
その相談をすることこそが、スタンが今夜の夕食会を提案した目的だったのだ。

 

(以下、ネタバレ)

 

息子たちの起こした怖ろしい事件はまだ明るみには出ていない。
その事実を公表するべきか、それとも隠蔽してしまうのか、親たち4人の考えが錯綜する、論争になっていく。
それぞれの息子を溺愛するあまりに、事件をもみ消そうとする二人の母親。
自分の政治生命とひきかえにしてでも真実を明かすべきだと主張するスタン、狭い視野で荒れ狂うポール。

 

それにしても、あのポールの息子はどうしようもなく駄目な人間性の持ち主だった。
個人的には、いかに非人間的なことをしたのかを反省し、しっかりと罪を償わなければ、これからの人生はないと思ってしまうのだが。

 

4人の親が出した結論は、そして彼らの行動はどんな結末に続くのか。
”冷たい”どころか、どろどろとした人間の利己的な部分を見せつけてくるドラマでした。
後味も大変に悪いものですが、確かに考えさせられるものがありました。