2018年 アメリカ 129分
監督:クリスチャン・リバーズ
出演:ヒューゴ・ウィーヴィング、 ヘラ・ヒルマー
近未来SFアドベンチャー。 ★★☆
「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」のピーター・ジャクソン製作・脚本
文明が荒廃してしまった近未来の物語。
そこでは人々は巨大な車輪のついた台車の上に都市を創り、移動しながら他の弱い都市を襲っては、自分の都市を豊かにしようとしていた。
市長サディアスが治める巨大移動都市ロンドンは、弱肉強食の世界で圧倒的な力を有していた。
オープニングに、その巨大移動都市ロンドンが小さな移動都市を追い詰め捕獲する。
ガソリンエンジンで動いているような、ちょっとノスタルジックな動きを見せて、この映像は実に想像力をかき立てるものだった。
そういえばジブリの映画に「ハウルの動く城」というのがあった。
しかし二つの映画の原作は違うようで、あちらの原作は1986年の児童小説「魔法使いハウルと火の悪魔」、こちらは2001年のSF小説「移動都市」とのこと。
動くものも、(がらくたを寄せ集めたような)一つの城と、大勢の人が暮らす都市全体、という違いがあった。
基本的なイメージは似ている気がする。影響は受けている?
さて、この巨大移動都市ロンドンに顔半分をマスクで隠した少女ヘスター(ヘラ・ヒルマー)が潜入してくる。
彼女の目的は、母を死に追いやったサディアスに復讐を果たすことだった。
歴史オタクの青年(彼が表向きの主人公)や、サディアスの娘も登場してくる。
へスラーに協力したり、父親に反抗したり・・・。
しかし、登場人物たちはみんな人間性が描けていなくて、当たり障りのない(魅力に乏しい)ものだった。残念。
移動都市ロンドンには、それに抵抗する反移動都市同盟があった。
彼等は居住地を移動させずに巨大な壁を築いてロンドンに対抗しようとしていた。
移動しながら攻め込もうとするロンドン、迎え撃つ定住都市軍。
このあたりの戦い場面は空中戦もあって、なかなかに好くできていた。
特に蚊のような飛行機を操って大暴れするアジア系女子がいて、親分肌の彼女が格好良かった。
映像的には確かに面白いものだった。
しかし”都市が動く”というのが謳い文句なら、それをもっと前面に押し出したものにして欲しかった。
それに、そもそも都市がわざわざ動かなければならない必然性はどこにあったのだ?
と、それを言ってはいけないのか・・・(汗)。
あまり多くのものを求めずに、とにかく都市が動くという映像を観たい、という方にお勧め。