2017年 イギリス 110分
監督:マーティン・キャンベル
出演:ジャッキー・チェン、 ピアース・ブロスナン
ジャッキーのシリアス・アクション。 ★★★
ロンドンのレストランオーナーであるクアン(ジャッキー・チェン)はおだやかな初老の男。
ある日、ひとり娘が無差別テロの犠牲となってしまう。
悲しみに暮れるか弱そうなクワンは、何度も警察に出向いては犯人を捜してくれと懇願する。
どうやらテロ実行犯は北アイルランドの過激派組織のようなのだ。
それならと、クワンは元はその過激派にいて今は副首相になっているリーアム(ピアーズ・ブロスナン)に犯人を教えろと迫る。
冷たくあしらわれるクワン。それでも懇願して執拗に食い下がるクワン。
ここから次第にクワンが変わっていくぞ。
彼はリーアムのオフィスに小型爆弾を仕掛け、犯人を教えろと脅す。
爆破装置を調べたリーアムの護衛たちは、簡単な仕掛けで効果的だ、こんなことはいつでもできるという意思表示だ、と言う。
こんなこと、普通の初老の男がやるようなことではないよねえ。
このあたりからクワンの過去が少しずつ明らかになっていく。
彼はかつてアメリカの特殊部隊に所属していた工作員で、ベトナムに従軍したりもしていたのだ。
これまで隠していた戦闘能力をふたたび発揮するぞ。
しかし、クアンがいきなり戦闘能力を開花させるのではない。
やはり身体は鈍っているのだ。それを必死に鍛える様子があったのはよかった。
それに、かっては特殊部隊にいたといってもクアンは決して無双というわけではない。
娘のために危なげもなくバンバンとやってしまう無敵オヤジや、不敵な微笑を浮かべながら危なげもなく敵をなぎ倒す空手オヤジとは違って、必死に戦うのである。
そこがリアリティを感じさせていた。
やがてクアンの辛い過去も回想されて観るものに知らされる。
そんな過去があるからこそ、残されていた娘を殺した奴らを決して許すことは出来ないのだった。
独りで過激派組織に立ち向かっていくクワン。
銃撃戦、そして肉体をフルに駆使した格闘の連続。
事件が終わった最後、口封じのために国家権力の狙撃銃の焦点がクワンの頭部に合わされる。
しかし、警視正(だった?)の、彼は何も語るまい、という判断で狙撃が中止される。
よかったね。
超人ではなく、またコミカル部分を封印したジャッキー・チェンのアクションものだった。
ポリス・ストーリー・シリーズなどでジャッキーを観てきた者にとっては意外な役柄だった。
しかし、それ相応に歳を取ったジャッキーには合っている映画だった。