あきりんの映画生活

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「ギルティ」 (2019年)

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2019年 デンマーク 88分
監督:グスタフ・モーラー

電話だけのサスペンス。 ★★★☆

 

緊急通報指令室のオペレーターをしている主人公のアスガー。
彼は軍人だかのようなようで(肩に階級章を付けたりしている)、いまは何かの懲罰を受けてこの業務をしているようだ。
しかし、そんな主人公の背景の細かい説明は一切なし。周囲の人との会話からぼんやりと察してねという感じ。

 

さてそんなアスガーに、今、誘拐されている最中だ、助けて欲しい、という女性からの通報がはいる。
子どもに電話をしているフリをさせて、その会話内容から手がかりを探ろうとするアスガー。
なにしろ、手がかりはこのかかってきた電話だけなのだ。

 

ということで、始めから終わりまで、映画は緊急通報指令室の中だけで推移する。
そして画面の90%以上は、主人公の顔のアップで、内容の大部分は電話の会話だけ。
映るのはとにかくそれだけなのである。
それなのにこの状況の緊張感はどうだ。
これは脚本がかなり練られている。まったく退屈しない。面白い。

 

電話が大きな役割を果たしたサスペンスといえば、「セルラー」と「フォーン・ブース」があった。
あれも電話での会話で物語が進むのだが、アクションも華を添えていた。
この映画はアクションはまったくなし。
繰り返しになるが、映るのはアスガーの顔だけなのだ(苦笑)。

 

デンマークでは、こうした指令室にかかってきた電話は、持ち主の名前や、携帯電話の中継局が表示されるようだ(電話がすべて登録されている?)。
だから女性の名前は判明し、中継局を中心にしたおよそ数十キロ半径の中にいることもつきとめられる。
アスガーは警察に連絡して、パトカーをその地域に向かわせる。
家に電話して取り残されていた6歳の娘とも話をする。
その家にも警官を向かわせる。

 

やがて断片的に判ってきたことは、女性を連れ去っているのは暴力的な夫で、ナイフを手にしている。
車は白のワゴン・カー。
そして家に踏み込んだ警官が目にしたのは・・・。

 

観客はアスガーと同じように電話による情報しか与えられない。
観客もアスガーと一緒になって事件がどうなっているのか、どうすればいいのか、考えてしまう。
緊張感が続くなあ。

 

(以下、ネタバレ気味)

 

終盤に、これまで主人公が(そして観ている者が)思い込んでいたことがまったく違っていたことが判る。
なんということだ!

 

惹き文句は「犯人は、音の中に、潜んでいる」。
ん~、まあ、確かにその通りで嘘は言っていない(苦笑)。これはお見事だった。
この物語展開には、してやられたよ。

 

「フォーンブース」の時も思ったけれど、映画って、充分に脚本を練れば予算をかけなくてもこんなに面白い映画が作れるんだ。

これはお勧めのサスペンス映画です(地味ですが 苦笑)。