2018年 ポルトガル 97分
監督:ガブリエル・アブランテス
奇想天外サスペンス? ★★
なんだ、この映画は? と呆気にとられる映画だった。
いろいろなテーマが詰め込まれているようなのだが、そしてそれをファンタジー調であらわそうとしているようなのだが、ネジが1本外れている。
この映画、作った本人は大真面目なのか?(汗)
主人公はポルトガルの英雄的サッカー選手。
試合の大事な局面になると、彼の前には大きなふわふわ毛並みの犬があらわれて、その犬たちと戯れるようにすると素晴らしいシュートを決めることができるのだ。
妙な幻想場面となるのだが、しかし、いったいあの犬は何?
登場人物も戯画的。
純粋で世間知らずの主人公をいいことにして、お金儲けの道具にしようとするのが双子の姉たち。
彼女たちが、まあ、トンデいる。
主人公に怒鳴り散らして自分勝手なことばかりしている。まあ、腹立たしいお姉さんたち。
金儲けのためには、弟を妖しげな人体実験にも差し出してしまう。
その実験をおこなっている博士や、実験を管轄している政府役人も胡散臭い人物。
おまけにその実験の副作用で、主人公の胸は女性なみに膨らんでしまうのだ。
どうみたってコメディの展開なのだが、何故かまったくおかしくない。
なぜこれがコメディになっていないかが不思議なほどに、どこか白けている。
一方で、主人公はアフリカ難民の救済をしたいとのことで養子を取ることにする。
と、それを利用しようとした諜報機関はスパイを送り込んでくる。
何という展開だ。
しかも、同性愛の女の子を男の子だと偽って送り込んでくるのだ。
どうみたって女の子だろ、というのに、主人公は疑いもしない。
男の子だ、男の子だ、嬉しいな、と可愛がる。
ここまでくると開いた口が塞がらない。
どうやら監督の意図としては、ポルトガルの貧富格差、難民問題、それに科学技術の進歩に伴う危うさ、LGBTなどの問題を取り上げたかったようだ。
これでもかと問題を詰め込んでいる。
そしてそれがファンタジーでもなく、コメディでもなく、SFでもなく、人間ドラマでもないものとして差し出されている。
う~ん、これにはまいった。
上に挙げた要素のすべてのネジが外れている。
結局のところ、何が何だか判らない映画だった。
判ったのは、怒ってばかりいる双子の姉さんが本当に悪賢かった、ということだけだった(苦笑)。
カンヌ映画祭で国際批評家週間グランプリとパルム・ドッグ審査員賞を受賞しているとのこと。
へえ~。