あきりんの映画生活

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「Red」 (2020年)

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2020年 日本 123分
監督:三島有紀子
出演:夏帆、 妻夫木聡、 柄本祐

不倫にはしる人妻。 ★★☆

 

原作は直木賞作家の島本理生の同名小説。
小説発表当時は性描写のきわどさがかなり取り上げられていたように記憶している(未読)。
しかし映画では必要と思われる描写だけになっていた。

 

ヒロインは、一流企業勤務の夫と幼稚園児の娘を持つ村主塔子(夏帆)。
ある日、塔子は夫のお供で出席したパーティ会場で鞍田秋彦(妻夫木聡)と再会する。
鞍田は人気のない部屋でいきなり塔子の唇を奪う。

 

実は、10年前に塔子はその当時は妻帯者だった鞍田と愛人関係にあったのだ。
今は幸せそうな生活をしているように見える塔子だが、男目線でしか接してこない夫や、同居している義母との生活に鬱屈したものを抱えていることは、上手く描かれていた。
鞍田の所属する設計事務所で働きはじめる塔子。
自然の成り行きとして、二人は密会をおこなう仲となる。

 

映画は時間軸をいくらかシャッフルして描いている。
上に書いたような二人の様子と交互に、夜の雪道をどこまでも走っていく車の二人が映される。
車を停めて、雪の中の公衆電話から塔子は電話をかける。
トラックの荷台からちぎれた真っ赤な紅い布が、雪の中を風にあおられて飛んでいく。
雪中を行く二人は道行きを思わせた。
不幸しか待っていない雪道の雰囲気だった。

 

映画は、何を描くか、と、どのように描くか、の両者が巧みにかみ合って成立する必要がある。
後でも述べるように、何が描かれたかについてはことさら新鮮なものは感じなかったのだが、しかし、描き方の感覚にはときおり鋭いものを感じた。

 

ヒロインの夏帆は、「海街ダイアリー」で観た三女役とは印象がまるで違った。
会社の同僚の小鷹(柄本佑)が、塔子に向かって「お前、結構エロいなあ」と言うのだが、たしかに隠微な雰囲気も出していた。
その柄本佑が好かった(この人は実力者だと思う)。
チャラい感じなのにどこか思慮深げなところも見せて、物語を引き締めていた。

 

ナラタージュ」のときも思ったのだが、島本理生が描いたのは徹底的に女性目線で語られる物語だった。
それを女性監督が撮っているので、原作の狙いは的確に捉えられたのだろうと思う。
ということでこの映画は女性と男性ではかなり感想が異なるのではないだろうか。

 

男性である私は、女性ってこんな感覚なのかと思ってしまったのだが、それは女性に対して抱いている先入観念からも来ている部分があるのだろうなあ。
おそらく女性が観れば、もっと細やかに描かれている部分が判るのだろう。
あ、ここは新鮮だと思う部分に気づくことが出来るのかもしれない。

 

(以下、ネタバレ)

 

物語の最後は、原作小説とはまったく違うようだ。
鞍田の死後、幼い娘のために家庭に戻る妻か、それともやはり家庭を捨てて孤独の道を選ぶ女か。
塔子の選択はどちらが、どうだったのだろう?