2020年 日本 109分
監督:遊川和彦
出演:波璃、 成田凌、 杉崎花
恋愛ドラマ。 ★★
1986年3月1日に高校生だった太郎(成田凌)は弥生(波璃)と出会う。
それからの30年間を3月のある1日だけで描いている、という設定に興味を覚えて鑑賞。
太郎と弥生は互いに惹かれ合っていたのだが、弥生の親友のサクラ(杉崎花)も太郎が好きだったのだ。
そのサクラは不治の病に罹っていたために、弥生はサクラの希望を砕くことはできなかった。
そしてサクラは卒業を待たずに亡くなってしまう。
太郎と弥生はいなくなったサクラを間に挟んで歩み寄れないまま、別の人生を歩きはじめる。
何年かにもわたってある1日だけを描く、という手法の映画には、アン・ハサウェイの「ワン・デイ 23年のラブストーリー」があった。
あちらは23年間の毎年の7月15日だけを描いていたのだった。
今作は弥生三月のある1日を描いていく。
始めのうちは3月1日、次の年は3月2日となっていたので、ああ、なるほど、と思っていたら、途中からは急に5年ぐらい飛んだりして、法則性が崩れていた。
(2011年の3月では、11日から始まっての数日間分を1年で使ってもいた。まあ、ここは仕方がないか。)
やがて互いにパートナーを見つけ、太郎には息子も生まれるが…。
実は太郎はできちゃった婚。
その結婚式のときに、気さくな太郎の母親(黒木瞳)は、私はね、太郎には弥生さんと結婚すれば好いなあと思っていたのよ、などという.。
結婚式の日にそんなことを言われても困っちゃうよなあ(笑)。
でも、ここはまあ、観ている人の気持ちを代弁したのだと捉えておこう。
一方の弥生は、(理不尽な)親の借金を返すために望まない結婚をしようとしたりもする。
月日が流れ、息子を守ろうとして怪我をして夢を絶たれた太郎は、離婚して自暴自棄になってしまう。
そんな彼を立ち直らせたのは、夢をかなえて教師になっていた弥生だった。
しかし、震災で夫を失って気力を失ったのは今度は弥生だった。
そんな彼女を励ましたのは、太郎だった。
最後になって、やっとふっきれた二人が互いの思いを確認する。好かったね。
しかし、ここで二人が「上を向いて歩こう」を歌い始めたのは、興ざめだった(汗)。
ちょっとミュージカルっぽい明るくお洒落なエンディングを、ということだったのかもしれないが、完全に浮いていた。
ツッコミをひとつ。
サクラのお墓の場面、登ってくる人がこちらから見えるのだったら、向こうからもこちらが見えているはず。
登ってくる人は目的地を確かめながら歩くのが普通だし・・・。
それに隠れて丘を降りていく人に全く気づかないのも不自然だったなあ。
30年間の物語というのだから、高校生の15歳から始まって終わりは45歳。
最後のあたりは、主役二人が若すぎるように思ったけれども、こんなもの?
構成としては面白い作りだったのだが、内容はベタだった。
ただ、サクラが亡くなる前に二人に残したカセットテープ、という趣向は好かった。
亡くなった人が残したものって、まず涙を誘える(と、こんなことを言ってはいけないか・・・)。
おまけのような最後の場面は、おお、そうきたかということで、面白かった。
山田太郎って、そういう由来の名前だったんかい(笑)。