あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「0.5ミリ」 (2013年)

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2013年 日本 196分
監督:安藤桃子
出演:安藤サクラ、 坂田利夫、 津川雅彦、 柄本明

ブラック・ユーモアな人情劇。 ★★★

続けて安藤サクラの映画。
原作/脚本/監督は姉の安藤桃子。プロデューサーは父の奥田瑛二、フード・コーディネーター(?)に母の安藤和津
一家総出の3時間越えの長い映画。

映画の惹き文句は「天使か悪魔か?」。これは上手いと思った。
介護ヘルパーのスキルを持った女性が、偶然に出会うワケあり老人のところで“おしかけヘルパー”をする話。
連作のような作りで、4つの逸話が描かれている。

ある事件に巻き込まれた住み込みヘルパーだったサワは、住むところを失い、お金もない。
どうしよう?
まずは、カラオケ店の受付でまごついているお爺さんを見つけて、巧みに取り入って二人で終夜カラオケを楽しむ。
お爺さんも喜んでくれたし、よかった、よかった。
別れ際に、寒いだろうと言ってくれて、男物の大きなコートももらったし・・・。

次に偶然に見かけたのは、妙な独り言を呟きながら次々に自転車をパンクさせていくお爺さん(坂田利夫)。
実は自転車泥棒でもあったりする。
彼の弱みにつけ込んで、強引に家に押しかけて住み込んでしまうサワ。
しかし、このお爺さんもサワのお節介に、次第に心を許してくる。
何やかやがあったあとの別れでは、秘かに大事にしていた幻の名車いす117クーペをくれたりする。

このように、主人公の山岸サワ(安藤サクラ)は好い人なのだか、したたかな狡い人なのだか、簡単には言えないような、微妙なところを持っている。
明るくて、社交的で、人に取り入ることに長けていて、家事や介護の非常なスキルを持っているものだから、強引に取り入った相手にも、それなりに喜ばれてしまう。
映画の惹き文句ではないが、彼女は”天使か、悪魔か”。
そこがこの映画の狙いであり、面白いところである。

元学校教師で寝たきりになった妻と暮らしているお爺さん(津川雅彦)は、サワに向かって(カメラに向かって)延々と自分の海軍時代の思い出話をする。
ここはすごい迫力。
認知症になりかかっているお爺さんの話は、いつまでも同じところへ戻ってきたり、微妙につながっていたりする。

映画の舞台は高知。
いろいろな事情を抱えた老人が登場する。
しかし、サワの心の内は描かれない。
サワが何を考えてそんな行動をしているのか、明確に語られることはない。
果たして心底からの親切心なのか、何らかの思惑を持っての行動なのか・・・・。
そこが、うわべはあっけらかんと見える主人公に謎のようなものを与え、この映画の不思議な魅力にもなっている。

「百円の恋」に続いてこの映画を観たが、安藤サクラ、恐るべし。