2018年 日本 117分
監督:中江和仁
出演:長澤まさみ、 高橋一生、 吉田鋼太郎
愛した貴方は誰? ★★☆
物語の始まりは、あの大震災が起こった日。
パニック気味に帰宅する群衆の中で困っていた川原由加利(長澤まさみ)に、自分の履いていた歩きやすいスニーカーを渡してくれたのが小出桔平(高橋一生)だった。
偶然再会した二人は、由加利の猛アタックで一緒に暮らすようになる。
二人の関係は由加里主導。
彼女はバリバリのキャリアウーマンで、”ウーマンズ・オブ・ザ・イヤー”にも選ばれたりしている。
自信満々、自己中なところもあって少々は勘違い女。
それに比べて桔平はおとなしく、自分をほとんど表に出さない性格。
そんな二人だから上手くいっていたのかな。
ところが同棲をはじめて5年が経ったある日、桔平はくも膜下出血で意識不明となってしまう。
そして、そして、彼の運転免許証や医師免許証がすべて偽造されたものだったことが明らかとなる。
えっ? どういうこと? 私が一緒に暮らしていた貴方は”小出桔平”ではなかったの?
なんでもこれに似た実際の話があったようだ。
5年間連れ添った夫が病死したので死亡届を出そうとしたら、そんな男性は実在しなかったという。
名前も本籍もすべて嘘で、結局その男性の身元は不明のままだったとのこと。
へえ、そんなことってあるんだ・・・。
この映画では、由加里は私立探偵の海原(吉田鋼太郎)をやとって桔平の真の姿を調べようとする。
由加里に海原が言う、お嬢ちゃん、知らないでいる方が好いこともあるんだよ。
たしかに、人がなにかを隠していた、あるいは嘘をついていたことにはなにかの理由があるわけだ。
それを調べることはその人が望むことではないだろう。
しかし、その人の嘘の理由が分からなければ、私が愛したこと自体が嘘になってしまう・・・。
その思いも判るよなあ。
由加里と海原は、桔平が秘かに書いていた小説の原稿を見つける。
そして小説の舞台となっている瀬戸内を訪れ、桔平の過去を探っていく。
夕日がかかって大きなロウソクのように見える灯台はどこにあるの?
このあたりはロードムービーのようでもあって好い展開だった。
性格にちょっと難がある(あのコンフィデンスマンのダーコみたい)なバリバリ女に長澤まさみはよく似合う。
一方の高橋一生は控えめ演技で悪くなかった。
そしてこの映画で一番好かったのは探偵役の吉田鋼太郎。
ぶっきらぼうなのだが根は親切で、世間の甘いも酸いも承知しているといった風情が映画を引き締めていた。
桔平がかっての自分を封印した理由は何だったのか?
桔平の過去に何があったのか?
由加里と海原はやがて一軒の無人の家にたどり着く・・・。
過去を隠す場合、その人が悪事を働いていたか、あるいは忘れたいような辛いことがあったか、そんなドラマとなる。
そのあたりは上手くまとめていた。
ただ、映画の最後の最後、あれはちょっとどうだったかなあ。
甘すぎませんか?