あきりんの映画生活

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「危険な関係」 (2012年)

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2012年 中国 110分
監督:ホ・ジノ
出演:チャン・ドンゴン、 チャン・ツィイー、 セシリア・チャン

ドンファン物語。 ★★★

 

これまでに何度も映画になってきた古典ともいうべき物語。
一番有名なのは1959年のロジェ・ヴァディム監督、ジャンヌ・モロージェラール・フィリップのものだろうか。

 

今作は舞台を1930年代の上海に移している。
日中戦争の足音が聞こえてきている時代の魔都・上海である。
そこでは連夜、金持ちたちの享楽的な、刹那的で華やかな社交会が繰り広げられていた。

 

女性実業家のモー(セシリア・チャン)は、名うてのプレイボーイであるイーファン(チャン・ドンゴン)と背徳的な賭けをする。
二人に目をつけられたのは、慈善活動に尽力する清楚な未亡人フェンユー(チャン・ツィイー)。
貞淑な彼女がイーファンの誘惑に負けるかどうか、賭けましょ。
もし彼女が恋に落ちたら貴方の勝ち、そのときは私は貴方のものよ。

 

真面目な人からすればとんでもない話。
当然のことながら3人の関係が拗れていくどろどろになっていく愛憎劇。
しかし、演じているのが絶世の美男美女ぞろいなので、醜くはない。
楽しめてしまう。やはり美男美女は得だなあ。

 

プレイボーイの手練手管は洋の問わず普遍的なもの。
歯の浮くようなことを臆面も無く堂々とやってのけるところが、プレイボーイのプレイボーイたるところ。
そして頑なに心を閉ざしていた女性も、くり返される甘言に少しずつ柔らかくなっていってしまう。
映画ではそんな恋の駆け引きを楽しむ。

 

なんといってもチャン・ツィイーが清楚で可憐。
ついには愛してしまったイーファンのために餃子を作る場面がある。
あの名作「初恋が来た道」で、恋した人のために饅頭をもって必死に走る姿を思い浮かべてしまったぞ。

 

さあ、どうだ、俺は彼女を落としてみせたぜ。賭けは俺の勝ちだ。
まだよ、次に彼女をきちんと棄ててみせてよ、そうしたら貴方の勝ちよ、私は貴方のものよ。
モーはなんて性悪な女なんだ。
でも演じているのが妖艶なセシリア・チャンだから、その悪女ぶりも魅力的だぜ。

 

そこでイーファンはフェンユーに別れを告げる。おまえをもう嫌いになった。
一途に男の愛を信じていたのに、棄てられてしまうなんて、ああ、可哀想なチャン・ツィイー
しかし、このあたりで判るように、イーファンは本気になってしまっていたのだよ。
自棄になって忍び込んだモーの寝室で、彼はフェンユーの名前を口ずさんでしまうのだ。

 

さあ、この三角関係(?)はどうなるのか。

 

(以下、ネタバレ)

 

その後のフェンユーが、亡き夫の意志を継いで教育活動をおこなう、これは予定調和的に好い感じだった。
しかし、さらに印象的だったのはモー夫人。
イーファンが死んでしまった後に、彼が選んでくれた真っ白なドレスが届く。
そのドレスを手にしたときのモーの哀しみの姿が良かった。
心底悪女であったはずのモーだったはずなのに・・・。

 

題材は不純な恋の駆け引きですが、なかなかに深い人間の心が描かれていた。
さすがに何度も映画化されるだけのことはある物語だった。
配役が好かったね。