あきりんの映画生活

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「Wの悲劇」 (1984年)

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1984年 日本 108分
監督:澤井信一郎
出演:薬師丸ひろ子、 三田佳子、 世良公則

W劇(劇中劇)。 ★★☆

 

公開時の併映は、原田知世主演の「天国に一番近い島」だったとのこと。
およそ35年前。懐かしい時代だな。

 

夏木静子の同名小説の映画化とばかり思っていた。
違った。
原作小説の物語は、映画の中で劇団が公演している舞台のストーリー(劇中劇)だった。
映画のメインになる物語は、その劇を演じる人々の話。まったくのオリジナルだった。
映画タイトルの「Wの悲劇」は、演じられる劇中劇のタイトルだった。

 

女優を目指す三田静香(薬師丸ひろ子)20歳は、大手劇団の研究生。
次回公演の「Wの悲劇」の主役オーディションで頑張るが、もらえた役は端役だった。
でも、私もいつかは劇団の看板女優・翔(三田佳子)のようになるわ。

 

この映画のとき実際にも20歳だった薬師丸ひろ子が、若い。
彼女は13歳の時に「野生の証明」でデビューして、「セーラー服と機関銃」「探偵物語」と、この頃の角川映画の花形だった。
演技的にはまだ頼りない感じだが、そこが初々しくて好かったのだろうな。

 

静香の恋人役は世良公則だった。
「あんたのバラード」で有名なロックバンド歌手だが、映画やTVにも結構出ている。
この映画でも自然体の演技で悪くなかった。

 

(以下、物語のネタバレ)

 

夏樹静子の原作小説(映画では劇団が演じる)では、祖父が刺し殺され、孫娘が私が刺したと告白する。
しかし、それは真犯人の母を庇うための嘘だったのだ。

 

そんな劇を演じる公演が始まったのだが、看板女優の翔のパトロンが腹上死してしまう。
えっ、どうしたらいいの? ねえ、静香ちゃん、貴方の部屋で死んだことにしてくれない。
もしそうしてくれたら、このお芝居の主役を貴方ができるようにするから。

 

ということで、劇中劇の孫娘そのままに、静香が実際の死亡劇でも身代わりを演じることになる。
このあたりはなかなか上手く原作を活かしていた。
マスコミに騒がれながらも、劇の主役を演じて一躍脚光を浴びるようになった静香。
さあ、大団円はどうなる?

 

いかにもあの時代の角川映画だな、という雰囲気です。
アイドル映画といわれていた一連の作品ですが、それを承知で観た方がいいかもしれません。
薬師丸ひろ子はこの映画でブルーリボン賞の主演女優賞を獲っています。