あきりんの映画生活

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「終電車」 (1980年)

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1980年 フランス 131分
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、 ジェラール・ドバルデュー

ドイツ占領下のパリの人間ドラマ。 ★★★

物語の舞台となるのは、ドイツ占領下のパリのモンマルトル劇場。
演出家だったルカはユダヤ人だったために、秘かに劇場の地下に潜んで暮らしている。
夫の代わりに妻のマリオン(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、主演女優を務めながら劇場を切り盛りしている。
その舞台で、主演女優の相手役に新しく抜擢されたのがロベール(ジュラール・ドバルデュー)。

タイトルは、占領下のパリでは夜遅くの外出が禁止されていたために、終電車が生活に重大事だったことからきている。

占領下の市民の生活も描かれているのだが、この映画の主題はマリオンを中にしたルカ、ベルナールの男女の三角関係。
中心となっているのは、感情を抑えて能面のような表情で演じるドヌーヴ。
その冷たい美しさがこの映画のすべてといってもいいぐらい。

地下に隠れ住みながら、妻がベルナールに恋していることを見抜く夫のルカ。
貴女は私に冷たかった、とマリオンに恨み言を言うベルナール。
それは貴方が怖かったからよ、と、無表情で押し通してきた彼女が、終盤近くになって、不意に激しい恋心を吐露する。

夫と、ベルナールの間で揺れ動く、臈長けた大人の恋物語
トリュフォー監督は様々な手触りの映画を撮っているが、これは奇をてらったところがまったくない。正当派のドラマであった。

映画はパリが解放され、劇場に自由が戻ったところまで映している。
表舞台に復帰して歓声と共に迎えられる夫ルカと、舞台で拍手喝采を受ける主役のベルナールとの二人に挟まれて舞台挨拶をしているマリオン。

マリオンの思いがすっきりと割り切れていないようなところが、妙に尾を引いてしまった。