あきりんの映画生活

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「pK ピーケイ」 (2014年)

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2014年 インド 153分
監督:ラージキマール・ヒラー
出演:アーミル・カーン、 アヌシュカ・シャルマ

インド版SFコメディ。 ★★★

冒頭で、宇宙船から降りたった宇宙人(アーミル・カーン)があらわれる。
そう、これは地球のことをなにも知らない宇宙人が主人公の映画。
そして、それがこの映画で宗教問題を扱ううえでどうしても必要な設定だったと思える。

さて、地球の言葉も知らない彼は宇宙船へ戻るためのリモコンを盗られてしまう。
あれを取り戻さなくては故郷の星へ帰れないぞ。これは困ったぞ。
そんな彼が出会うのが、ヨーロッパで失恋してインドへ戻ってきていたジャグー(アヌシュカ・シャルマ)。

この映画、宗教問題を鋭くついてくる。
言動が地球の常識からは外れていることからPK(酔っ払いという意味らしい)と呼ばれるようになった彼は、願いごとがあるなら神様に頼めばいいんだよと教えられる。

しかし、なぜ、地球にはたくさんの神様がいるの?
仏教やキリスト教イスラム教などなど、どの神様に頼めばいいんだ? 
PKにとっては素朴な疑問なのだが、それぞれの宗教を疑いもなく信じている信者は彼の問には答えられない。

それに、なぜ、願いごとをしても神様は何もしてくれないの?
う~ん、これは無宗教の人は誰でもが感じている疑問。神様が本当にいるのだったら、その宗教のせいでどうして争いが世界中で起きるのだろ?

宗教大国のインドで、こんな基本的な宗教への疑問をぶつける映画を作るとは、さぞ勇気が要ったと思う。
主人公を、この世界の常識から無縁の宇宙人にしたことによって、こうした疑問をぶつけることができたのだろう。

しかし、このような深遠なテーマを扱っていても、だからといってこの映画がまじめくさっているわけではない。
PKの純粋故に常識から外れた行動は笑いを誘う。
それにちゃんと恋物語も絡ませている。さすがにエンターテイメントのインド映画。

インド映画のヒロインが超美形であることはお約束。
ジャグー役のアヌシュカ・ジャルマも、ちょっとアヒル口なところがチャーミングだった。
シャー・ルク・カーンと「命ある限り」にも出ているらしい。チェックしなくては。

154分と長丁場で、正直なところ、前半はややダレるところもあった。
しかし、インターミッションを挟んでの後半になると、ぐんと面白さが増してくる。
金儲け主義の宗派の教祖との対決が始まるのだ。ぐんと盛り上がってくる。

初めに描かれていたジャグーの失恋はなしが、クライマックスで生きてくる。
コメディ・タッチだったのに、ちゃんと目頭が熱くなるような展開を持ってくるところは、さすが。

監督は、あの大ヒット作「きっと、うまくいく」の人。
実はあちらはまだ観ていない。これはあちらも観なくては。