あきりんの映画生活

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「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」 (2018年)

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2018年 ロシア 113分
監督:アレクセイ・シドロフ
出演:アレクサンドル・ペトロフ、 イリーナ・スタルシェンバウム

戦車1台での逃走劇。 ★★★

 

以前に間違えて「T-34 ドイツが怖れた戦車」を観てしまった。
あれも充分に面白かったが、同じ「T-34」でも観ようと思っていたのはこちらだった。
制作にはあのニキータ・ハミルコフも名を連ねている。これは間違いないかな。
ソ連の最強戦車T-34を描いて、ロシアでは大ヒットしたとのこと。

 

第二次世界大戦のヨーロッパ戦線。
戦車長に抜擢されたイヴシュキンは、ナチスのエリート将校イェーガー大佐の戦車と戦い捕虜となってしまう。
しかし、イェーガー大佐はイヴシュキンの腕を高く評価していた。

 

ドイツ軍はソ連T-34戦車を撃ち破り、戦場から回収してくる。
よし、このT-34を使って敵の戦闘能力を確かめよう、実弾演習で試してみよう。
おい、イヴシュキン、捕虜兵の中から戦車要員3名を選抜して、一緒に4人で壊れたT-34を修理しろ。それから我々の演習の相手をしろ。
しかし、砲弾は与えない。我々の戦車隊の砲撃をどこまで受け止められるかの演習だ。

 

おいおい、それじゃ俺らは砲撃の的になるだけかよ。死ぬだけかよ。
狭い戦車の中にはソ連兵の死体が残されており、酷い臭いを放っている。
それを丁寧に処理して、戦車の修理、整備をおこなうイヴシュキンたち。

 

すると、T-34には6発の砲弾が残されていた。
しめた、これは隠しておかなくては。これを使ってドイツ軍に一泡吹かせてやるぞ。
T-34に乗って、演習場からそのまま逃げ出してしまおうぜ。

 

こうして演習当日、イヴシュキンたち4人は隠しておいた砲弾を積み込む。
まずは演習場で、相手は丸腰だ、簡単にやっつけてやろうぜ、と油断していたドイツ軍のパンター戦車1台を撃破する。
なに?どうして奴らが砲弾を持っているんだ? これはどうしたことだ?
このあたりは、油断していたドイツ軍にまさかの一撃を食らわせる痛快さがあった。

 

さあ、どんどん行くぜ。
驚ろいてT-34を撃破する体制をとろうとするドイツ軍を尻目に、イヴシュキンらは収容所の門を乗り越えて脱出する。
戦車ってすごいんだなあ。普通の建物なんてどんどん壊してしまう。
逃走ルートの地図を盗み出して協力してくれた女性捕虜とも落ち合い、5人は間道を縫ってチェコを目指す。

 

もちろん、怒り心頭でプライドも傷つけられたイェーガー大佐も必死。
よし、チェコに向かうルートをすべて遮断しろ。儂は偵察機に乗り込んで空から探索するぞ。
さあ、イヴシュキンたちは逃げ延びられるのか?
間にはイヴシュキンと一緒に逃げている女性との恋物語も挟まる。
(これはあまりにもベタな展開で、かえって微笑ましくて好かった。)

 

ついにある街で待ち構えていたパンター戦車部隊との戦いが始まる。
撮影には本物のT-34を使っているとのこと。
戦車オタクにはたまらんだろうな。たしかにリアルさがすごい。

 

相手を撃つためには、当然ながら戦車の砲塔を相手に向けなくてはならない。
その砲塔の旋回がリアルにゆっくりなのだ。そのもどかしさがかえって緊迫感を高める。
戦車ものも好きだが、潜水艦ものも好きである。
あちらでも敵に魚雷発射をするための操艦をしなければならないのだが、そのもどかしさがあった。

 

こちらは1台。相手は何台もの戦車。
おまけにこちらの砲弾は数が限られている。どうやって敵を倒す?
最後にイヴシュキンはイェーガー大佐と因縁の一騎打ちとなる。

 

戦争物だから本当は悲惨な状況が沢山あったはず。
しかしこの映画ではそのような場面は映し出されない。
あくまでもエンタメ性を重視しており、反戦とか人道とか、そういった理屈も持ち込まない。
純粋に愉しむことができる映画だった。
後味も好かったですよ。