あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「特攻大作戦」 (1967年)

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1967年 アメリカ 150分
監督;ロバート・アルドリッチ
出演:リー・マービン、 チャールズ・ブロンソン、 テリー・サバラス、 アーネスト・ボーグナイン、 ジョージ・ケネディ、 ロバート・ライアン、 ドナルド・サザーランド

男臭い戦争もの。 ★★★☆

メグ・ライアンとのラブ・コメ傑作「めぐり逢えたら」の中で、トム・ハンクスが「男は皆、『特攻大作戦』を見て泣くんだ」といった台詞を言う。
はて、男が思わず泣いてしまう映画とは、どんなんだ?

やることはやるが、そのためには平気で軍規を乱し、上官にも反抗するライスマン少佐(リー・マーヴィン)に特命が下る。それは、フランスの古城にあるドイツ軍施設を襲い、高級将校をできるだけ多く殺せ、というもの。
そのための要員として選ばれたのは、殺人などで死刑、長期懲役の判決を受けて軍刑務所に収監されているならず者12人。
原題は「汚れた12人」(これは、訓練の最中にシャワーも浴びず、髭も剃らずといった12人の身体の汚れにも引っかけている)。

死刑になるのを待っていたような連中だから、協調性なんて全くなし。
上官の命令なんて馬鹿馬鹿しくて、といった態度。
そこをライスマン少佐がガツンとやる。次第にならず者たちが本気になっていく。
う~む、男臭いぞ。面白い。

とにかく男臭い映画。女なんてどこにも出てこない(脇役では出てきますが)。
髭ぼうぼうになりながら訓練をくり返していく。
次第にバラバラだった12人がお互いに信頼しはじめ、ついにはやる気満々の精鋭部隊へと変身していく。う~む、男臭いぞ。面白い。

12人にはチャールズ・ブロンソンテリー・サバラスドナルド・サザーランドなど、くせのある俳優がずらり。個性豊かにそれぞれを演じている。
周りをかためる将校に、アーネスト・ボーグナインやリチャード・ケネディ(彼がとても良い味を出していた)もいる。
役者陣に不満なし、大満足。

演習の一部で、ライスマン少佐に意地悪だった大佐(ロバート・ライアン)にこのならず者部隊が一泡吹かせる場面があったりする。痛快。
と、このあたりまではとても面白く観ることができた。

終盤1/3ぐらいから、本題とでも言うべき密命の実行が開始される。
落下傘で敵地に降下し、敵の監視の目を潜って潜入して・・・という展開となる。
ここからは本来の戦争アクション映画となっていく。
もちろん、そのアクションも平均点レベル以上のもの。
ただ、ただひとつだけどうしてもすっきりしない展開があった。

実は、現代の道徳観や倫理観からは、どうかな?と思えるような”大虐殺”をしてしまうのだ。
40年以上前には、戦争ものも単に娯楽映画であり、残酷な人の殺し合いにも映画の面白さを追求するためには無頓着だったのだなと思わされる。

今からみれば、惜しい作品。
終盤の展開のために☆ひとつ減点となってしまった。
あの最後の”虐殺”さえなければ、とても好くできた映画なのですが。

トム・ハンクスよ、そうか、アメリカ人はこの映画で涙するのか。
日本人の私は泣きはしなかったなあ。