2022年 108分 ポーランド
監督:ヤツェク・ブワブト
リアル潜水艦もの。 ★☆
このタイトルである。そしてこのポスターである。
潜水艦もの好きとしては、これは観ておこうじゃないの、となるのは当然なのである。
さあ、どんなバトルが繰り広げられるのだ?
ところが、あれ? なのである。
大変に地味なのである。これがバトルなのか・・・。期待していたのとは違うなあ・・・。
この映画はポーランド製。そう、開戦してすぐにドイツの侵攻を受けた国である。
実際に存在した潜水艦オジェウの物語とのこと。そうか、それで地味なのか。
ときは1943年5月。オジェウはドイツ艦隊への攻撃命令を受けて出航し、イギリス海峡を渡っていく。
画面は終始暗く、潜水艦ものの常として狭い艦内のみである。
そしてほとんどが会話劇なのだが、登場人物の人間像がそれほど鮮明には描かれていないので、そこにドラマを感じることもほとんどなかった。
原題は「オジェウ 最後のパトロール」。
”バトル・オブ・サブマリン”なのだが、魚雷は1発も撃っていなかった。
ひたすら狭い館内で息を殺してじっと我慢する。それがこの映画のバトルなのである。
潜水艦内で乗組員が感じるストレスを、映画を観ている者にも伝えてくる。
途中でドイツ軍艦船との戦い場面がある。
しかし潜水艦ものなのに、艦は浮上して海上で銃撃戦をするのである。
どうして?と思ったのだが、どうやら相手はドイツ軍の小型戦闘艦艇で魚雷攻撃はできなかったようなのだ。
なんかなあ。史実ものなので、記録にある通りなのだろうけれども、やはり潜水艦ものらしい戦いを見せて欲しかったぞ。
潜望鏡深度での航行をしていた時に、オジェウは不意にやってきた航空機からの爆雷攻撃を受けてしまう。
艦内火災を起こし、浸水もはじまり、艦は沈降していく・・・。
エンタメ性を排したリアルな潜水艦ものとしては、名作の誉れ高い「Uボート」があった。
この映画もそれと同じような制作意図なのだろう。
しかし、あまりにも地味だった。
この映画の制作にはポーランド国防省が協力し、それに実際の艦隊戦隊が参加したとのこと。
本格的に作ろうとしたのだな・・・。
しかし、期待していたものとは大きく離れていたので、私の評価は低いものになった。
リアル潜水艦ものが好きな人には向いているのかもしれない。
観る時は、決して邦題とポスターに騙されないように。