1990年 フランス
監督:リュック・ベッソン
出演:アンヌ・パリロー、 ジャンヌ・モロー、 ジャン・レノ
育てられた女諜報員。 ★★★☆
アラン・ドロンの「危険なささやき」で観たアンヌ・パリローが魅力的だったので、これを再見。
リュック・ベッソン監督が「グラン・ブルー」のあとに撮った作品で、エンタメ型の出発点となっている。
警官殺しの罪で死刑宣告を受けた不良少女のニキータ(アンヌ・パリロー)。
そんな彼女は死刑になる代わりに、彼女は政府の諜報員として訓練を受けることになる。
お前に選択の余地はないぞ。
反抗的なニキータだが、次第に技術を身につけていく。
拳銃の射撃訓練で最初からすご腕をみせるニキータ。
本当に初めてか?と驚く係員に、(的の)紙を撃つのはね、と答えるニキータがふてぶてしくて好かった。
おいおい、人はたくさん撃ってきたのかよ。
それにメイク技術を教える係員にジャンヌ・モローが出ていて驚いた。
女は限りなく美しくなれるのよ、との言葉通りに、ニキータが蓮っ葉な不良少女からレディに変身していくところも好かった。
指導教官ボブとの淡い恋心のような交流も、歯がゆいような、ほっとするような感じだった。
最初で最後のキスよ、も印象的だった。
こんな風に、なにか暗い過去を持つ一般人が訓練を受けて諜報員や暗殺者に仕立てられる、という筋立てはときおり見かける。
この映画がそんな筋立ての先鞭をつけたのではないだろうか。
その意味では大した功績を持っている映画だということになる。
優雅な食事会かと思って出かけたら、それも非情な任務の一環だったとは。
いきなり命じられた暗殺指令だが、テストでもあるかのように教えられた脱出ルートはふさがれている。
なんとか逃亡しようとして、タイトなミニスカート姿のニキータが激しい銃撃戦を展開する。
敵の銃弾を避けるために物陰に座りこむニキータ。
ポスターにも使われている有名な構図だが、これは冒頭で不良少女だったニキータが隠れていたポーズでもあった。
ニキータはマルコという優しい男と知り合って一緒に暮らすようになる。
しかし、そんな日々にも暗殺指令はいきなり割り込んでくる。
マルコに裏家業のことを知られないようにしながら指令をこなしていくニキータ。
リュック・ベッソンといえば、長身のブロンド美女好きと思っていたが、パリローはちょっと違う。
彼女とは結婚もしているし、この頃はベッソンの女性の好みが違っていたのかな?
彼は「レオン」に出た女優とも再婚しているし、後には「フィフス・エレメント」でのヒロインだったミラ・ジョボビッチとも結婚している。
監督とヒロイン女優は恋に陥りやすいのだろうか?(苦笑)
(以下、ちょっとネタバレ気味)
最後、ボブと話し込むマルコ。
実はマルコは、組織がニキータの監視役としてつけた男ではないのかと疑ってみていたのだが、違った。
彼は本当にニキータを愛していたんだね。
ニキータがどこまでも弱さを残しているところが作品に陰影を与えていた。
必死に頑張るニキータは決して女無双でない。そこがこの作品の要となっていた。
そしてこのあと、掃除屋として印象的だったジャン・レノは殺し屋として「レオン」になるわけだ。