あきりんの映画生活

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「風とライオン」 (1975年)

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1975年 アメリカ 119分
監督:ジョン・ミリアス
出演ショーン・コネリー、 キャンディス・バーゲン、 ブライアン・キース

ロッコ舞台の歴史もの。 ★★★

 

王になろうとした男」と同じ年に公開されたショーン・コネリー主演の歴史もの。
舞台は、20世紀初頭のフランス領だったモロッコ
ここの覇権を帝政プロシアアメリカも狙っていたようで、情勢はややこしい。
列強の侵略に抵抗して、自分たちの矜持を守ろうとする男の物語である。

 

アメリカ人未亡人のイーデン(キャンディス・バーゲン)とその子供たちが、リフ族の首長ライズリ(ショーン・コネリー)によって誘拐される。
砂漠の王者を自認するライズリは、列強国のモロッコへの介入が我慢できなかったのだ。
そこでアメリカ人を誘拐して国際紛争を起こし、モロッコ太守に外国勢力を排撃させようとしたのである。
ああ、これは日本風にいえば尊皇攘夷だな。

 

自国民が誘拐されたアメリカとしても黙っているわけにはいかない。
時の大統領ルーズベルトは、面子に賭けても母子を救出せねばと、大西洋艦隊をモロッコに派遣しようとする。
こうして映画は、砂漠の王者ライズリと、アメリカ大統領セオドア・ルーズヴェルトの様子を交互に描いていく。
しかし、主役はなんといってもライズリの方である。

 

ショーン・コネリーが格好いい。
彼の目力は並ではないと思うのだが、それでいて、ちょっとお茶目な風情も漂わせる。
そこが何とも言えず好い。

 

誘拐されたイーデン親子は脱出も試みるのだが、かえって粗野な部族に捕らわれそうになる。
そこに単身でライズリは救出にあらわれるのである。
おお、ライズリは頼りになる男だったではないか。

 

やがて、イーデンもライズリに気持ちが通じるものを感じるようになる。子どもたちも、まるでライズリに父性を求めるかのようになってくる。
立場の違いを超えてお互いを認め合うこのあたりは、観ている者の気持ちも何とも和らいでくる。
気丈な母親を演じてキャンディス・バーゲンも好かった。

 

ルーズベルトもなかなかの好漢として描かれている。
ライフル銃に並々ならぬ興味を示したり、テディ・ベアの元となる熊への執着ぶりをみせる。

 

やがてアメリカ大西洋艦隊の海兵隊がタンジールを占領する。
この戦闘場面には呆気にとられた。
まさかと思うまもなく、問答無用に銃の一斉射撃で武力制圧してしまうのである。
こんなことを躊躇なくしてしまうのだなあ。

 

ここで悪役となるのがプロシア。約束を裏切ってライズリを捕らえてしまうのである。
怒ったイーデンは、自らアメリ海兵隊とともにプロシア軍からライズリを救出するのである。
最後まで冒険活劇が続き、愉しませてくれた。

 

風がルーズベルトで、ライオンがライズリという喩はあまりぴんとこなかった。
しかし、イスラム文化国に充分な敬意を払った内容となっており、今のアメリカとイスラム圏の対立が鮮明な情勢を考えると、考えさせられる。
ショーン・コネリーの格好良さを再認識する映画でもあった。