あきりんの映画生活

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「アフターマス」 (2016年)

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2016年 アメリカ 94分
監督:エリオット・レスター
出演:アーノルド・シュワルツネッガー

飛行機事故もの。 ★★☆

 

アーノルド・シュワルツェネッガーの映画だが、アクションはまったくなし。
実話に基づいた人間ドラマである。
シュワルツネッガーは、笑顔もなく、無骨な苦悩に満ちた主役を演じていた。

 

題材になったのは、2002年に起きたユーバーリンゲン空中衝突事故。
日本ではほとんど話題にならなかったようなのだが、実際に事故に絡んだ殺人事件も発生しているとのこと。

 

2機の飛行機が空中で衝突し、乗客乗組員271名が犠牲になる事故が起きる。
映画は、その事故で妻と妊娠中だった娘を失ったローマン(アーノルド・シュワルツネッガー)と、その事故の直接の原因となった航空管制官ジェイクの様子を、交互に描いてく。
タイトルの「アフターマス」とは、災害や大事故のその状況と、その後の余波、後遺症などをあらわす言葉。

 

家族を奪われたローマンは航空会社に謝罪を求める。
しかし、金銭的な補償をすればそれでいいだろ、と一方的に和解案を押しつけてくる航空会社。
いや、俺はただこの家族の写真に謝罪して欲しいんだっ!

 

一方のジェイクは、彼の管制ミスで事故が起きたと周りから攻められる。
家には”人殺し”などの大きな落書きがいくつもなされ、家の前には報道陣が詰めかけている。
当然、家族も巻き込まれて消耗する。
ジェイクは自殺を考えるほどに落ち込んでいる。加害者側とは言え、これは辛いよなあ。

 

事故当時の管制室の状況も映されていたのだが、必ずしもジェイク一人が悪いわけでもない。
本来いるはずの相方はトイレかなんかで不在になるし、電話工事とかで連絡も不能だったのだ(なぜ、業務中に工事をするのだ?)

 

しかしこの映画は、飛行機事故の真相を追求するサスペンスなどではなく、ひたすら家族を失ったローマンと、事故を引き起こしたジェイクの悲しみと苦悩を描いている。
そしてこの二人が出会ったときに、新たな悲劇が起きるのだ。
実話ベースなので、物語は全体的に暗く沈んだものだった。

 

どなたかの感想に「シュワルツェネッガーには引退する間際まで、たとえ車椅子や寝たきりになってもマシンガンを連射していてもらいたい」というのがあった。
なるほど、そう考えるファンも当然いるのだろうな。
しかし、あくまでもアクションものから離れないシルベスター・スタローンとは違うこれからを、シュワルツネッガーは、探しているように思えた。