あきりんの映画生活

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「浅田家!」(2019年)

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2019年 日本 127分
監督:中野量太
出演:二宮和也、 妻夫木聡、 平田満、 風吹ジュン、 黒木華

ある写真家の物語。 ★★★

東日本大震災の繋がりで、最近の映画から。

写真家の浅田政志の実体験を基にした映画。
彼は、両親や兄と一緒に消防士やレーサーなどさまざまな職業に扮するユーモラスな家族写真集「浅田家」で木村伊兵衛写真賞を受賞している。

 

前半は、浅田政志(二宮和也)が写真家になり、家族写真を撮ることで自分を確立していく物語。
そのきっかけも好い。
父親(平田満)が、消防士になるのが小さい頃の夢だった、と言うのを聞いて、家族全員で消防士に扮した写真を撮ったのである。
この発想自体が”家族”を想う優しい気持ちから出てきているところがよい。

 

母親(風吹ジュン)がなってみたかったものは?と聞かれて、政志が撮った写真には笑ってしまった。
まさか極道一家写真かよ。いいねえ。

 

政志を囲む浅田家ファミリーがとても好い感じである。
ちょっと頼りなげだが家族の芯となっている父、どこか突きぬけたところのある母、そして優等生の兄。
とにかく皆、政志のことが好きでたまらないのだ。
それがひしひしと伝わってくる。

 

映画の後半は、あの東日本大震災と直面する。
災害にあった沢山の人に対して写真家としてできることは何か、との模索と、その解答だったのだろう。
どこの家族でもお父さんは写真を撮る係で、家族写真にお父さんはあまり写っていない、ということも、父親の家族への愛情なのだな。

 

うわべはのほほんとしているようで、実は少し寂しげな風情を漂わせている二宮君が好い。
まあ、以前からファンではあるのだけれども、この映画でも自然体で演じている。
どこか憎めないやる気の無さと、スイッチが入ったときの真面目なやる気感が、なんともいい具合にあらわれている。

 

少し前の「検察の罪」ではキムタクと競演していたが、やはりニノの方が好かった。
キムタクは何をやってもキムタクから抜け出せないが、ニノは演じている人物に自然に寄りそってしまう。
そこが役者としてすごいと思う。
硫黄島からの手紙」でニノの演技をクリント・イーストウッド監督が認めていたとのことだったが、それはどのあたりでだったのだろうか?

 

とても真面目に撮られている映画なのだが、それと同時にユーモア感覚もある。
映画の冒頭は、父親が危篤状態となり、政志が急いで帰宅してくる場面だった。
そこから、幼かった政志が父親の影響を受けて写真家になって、という風に物語がすすんでいた。
そして映画の最後は、再びその父親の危篤場面に戻ってくるのである。
しかしここでやられた。そうか、そうだったのか、これこそ浅田家!だったのだな。

 

気持ちがほのぼのとしてくる良品でした。
ワルシャワ映画祭で最優秀アジア映画賞を取っています。