1951年 アメリカ 101分
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ファーリー・グレンジャー、 ロバート・ウォーカー、 ルース・ローマン
交換殺人をやろうぜ。 ★★★
原作は「太陽がいっぱい」を書いたパトリシア・ハイスミスの同名小説。
これをヒッチコックが監督して、さすがのサスペンス映画に仕上げていた。
活躍中のテニス選手ガイ(ファーリー・グレンジャー)は妻ミリアムとは不仲になっており、恋人のアン(ルース・ローマン)と再婚を望んでいた。
しかし、離婚を迫っていたはずのミリアムは、ガイが有名になってきたとたんに、「絶対に離婚しないわよ!」
くそっ、これではアンと結婚できないではないか!
このミリアムがしょうもない尻軽女。
ガイの留守中には男を渡り歩いているような日々。
ミリアムは特徴的な大きな眼鏡をかけている。なんだかダサい眼鏡だな。ちっとも美人には見えないぞ。
しかしこの眼鏡が後半ではちゃんと意味を持ってきていた。さすがにヒッチコック、職人芸だな。
ある日、ガイは列車の中で見知らぬ男ブルーノ(ロバート・ウォーカー)から話しかけられる。
口達者なブルーノは、自分は小うるさい父親がいなくなればいいと思っている、と告白する。
どうだい、俺がミリアムを殺してやるから、代わりに俺の父親を殺してくれ。互いに動機はないのだからバレっこないぜ。
このブルーノという男の造形が好い。
人なつこそうに近づいてきて、話がうまい。その上、押しも強い。
相手が迷惑そうにしていようがおかまいなしに、ぐいぐいと自分のペースに話を持って行ってしまう。
ちょっとかなわんな。
この映画の要は、相手が勝手に交換殺人をしてしまうところ。
そして俺はちゃんと約束通りにお前の邪魔者を殺してやった、今度はお前が俺のために殺人をしろよ、と脅迫してくる。
次第にブルーノの異常性格が表面に表れてくる。
いつもソフト帽をかぶったブルーノはことある毎にガイの生活に侵入してくる。つきまとってくる。
ガイのテニスの試合場面。
観客はボールを目で追って一斉に顔を右へ左へと動かす。そんな中で一人だけ顔を動かさずにじっとガイを見ているブルーノ。怖ろしいよ。
ついには、お前が俺の父親を殺してくれないのなら、ミリアムを殺したのはお前だという証拠品をでっち上げるぞ、と脅してくる。
ミリアム殺人の現場ともなった遊園地でのクライマックス。
最後までブルーノの不気味な怖ろしさを味わせてくれました。
ヒッチコック監督は冒頭近くに登場。大きなウッドベースのケースを抱えて列車に乗ろうとしていました。
またヒロインの妹役(大きなダサい眼鏡をかけているのです)は監督の実娘でした。