あきりんの映画生活

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「すべて彼女のために」 (2008年)

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2008年 フランス 96分
監督:フレッド・カバイエ
出演:ヴァンサン・ランドン、 ダイアン・クルーガー

逃亡サスペンス。 ★★★☆

ラッセル・クロウ主演でハリウッド・リメイクされた「スリーデイズ」のオリジナル。
物語の骨子はリメイク作とほとんど同じ。
しかし、雰囲気はなぜかハリウッドではない。どう言ったらいいのか、華やかさが少なく、その分だけ渋い。
私は華やかさも渋さも好きなので、どちらもそれぞれに楽しめた(嬉)。

夫のジュリアンは平凡な教師。幸せに暮らしていたのに、ある日突然に妻のリザが殺人容疑で逮捕されてしまう。
もちろんリザは冤罪。その説明の映像もしっかりと出て、そのことを前提に映画はすすむ。
そして、この作品は真犯人が誰かとか、裁判で証拠を集めて無罪を勝ち取るとか、そんなことには全くの無関心。
無実の妻を脱獄させる、そして国外へ逃亡する、それに向けての一点集中ドラマ(笑)。

この映画の眼目は、平凡な一市民だったジュリアンが警察を相手に大胆な計画を実行するところにある。
素人っぽい頼りなさがハラハラ感を盛り上げる。
(その点では、リメイクのラッセル・クロウはちょっと損をしていた。なにせグラディエーターだし、強そうな雰囲気ぷんぷんだから 笑)

部屋の壁一面に集めたデータを書き込み、計画を書いていく。
国外脱出のための偽造パスポートも入手しなくてはならないが、素人にはどうやったらいいのか分からない。
これはそうだろうなあ。準備のお金も要るし・・・。

いい味を出していたのが、長年不仲だったらしいジュリアンの父親。
ジュリアンが妻や子と一緒に国外逃亡をすれば、おそらく二度と会うことはできなくなる。
会いに行っても何も言わないジュリアンだが、そんな彼を父親は何かを感じ取って黙って見送る。

いよいよ最後、空港での逃亡シーン。
「アルゴ」の時もそうだったが、ここでも間一髪の状況をみせてくれる。
う~ん、緊張感が上手く出てたなあ。

リメイクにしてもオリジナルにしても、先に見た方がお気に入りだった場合はもう一方とどうしても比べてしまう。
そして、ああ、こちらの方がよかったなと思ったりもする。
しかし、今回はオリジナルもリメイクもどちらもそれぞれの良さがあった。
(リメイクの方ではさすがに工夫をした小技の捻りがあったりするので、オリジナルから観た方が面白いかもしれませんが・・・)

1時間半という切り詰められた上映時間で、緊張感もよく保たれていました。
上質のフランス雰囲気のサスペンスでした。