2021年 アメリカ 112分
監督:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、 トロイ・コッツァー、
家族愛の映画。 ★★☆
タイトルの”コーダ”というのは、耳の聴こえない両親に育てられた子ども、という意味とのこと。
その通りに、ヒロインのルビー(エミリア・ジョーンズ)の両親は聾唖者。兄も聾唖者。
家族の中でルビーだけが耳が聞こえる。これは大変な環境だな。
しかし、漁業を営んでいる家族は底抜けに明るいのである。
ルビーも朝早くからの漁に一緒に出かける。顔を合わせていれば手話が出来る父と兄だが、ルビーがいなければ無線連絡も出来ないわけだ。
そうか、明るい家族だけれど、やはり、これは大変な環境だな。
新学期にルビーは、秘かにあこがれていた男の子と同じ合唱クラブに入部する。
始めはおずおずと歌っていたルビーだったが、顧問の先生がすぐにルビーの才能に気づく。
この顧問の先生が気むずかしくて変人なのだが、実はとても好い先生。
ルビーのことを一直線に応援してくれる。この先生に出会えて好かったね。
先生に推薦されてルビーはコンテストに出場する。
その歌唱する場面では、全ての音が消されていた。
そうか、耳の聞こえない人だったら、歌唱コンテストでもこんな風に視覚と振動を感じることだけなのだね。
いくら応援していても、ルビーの両親には娘の歌声は聞こえないものだったのだね。
あらためて音が聞こえない世界を思わされた。
歌の道に進むためには家族と離れて暮らさなければならない。
しかしルビーがいなくなったら、残された家族はどうやって周りの人とコミュニケーションをとったらいいんだ?
お互いを思い合う優しさが交差する。好い家族だな。
アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞している。
父親役を務めたトロイ・コッツァーが助演男優賞だったわけだが、男性聾唖者の初のオスカー受賞者だったとのこと。
いわゆるハート・ウォーミングな、気持ちの好い映画でした。
いじめっ子が少し出てくるぐらいで、あとはみんな好い人ばかりだったし。
なので、へそ曲がりの私にはいささか毒がなさ過ぎました。いや、好い映画なのですよ。
本作はフランス映画「エール!」(2014年)のリメイク。
オリジナルはどんな感じだったのだろうか。