1940年 アメリカ 120分
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジョエル・マクリー、 ラレイン・デイ
大戦前夜の冒険サスペンス。 ★★★
ヒッチコック監督のハリウッドでの2作目。
舞台は大戦前夜のヨーロッパ。
アメリカの新聞社から派遣された記者ジョーンズ(ジョエル・マクリー)が、開戦をめぐる陰謀に巻き込まれていく。
開戦を食い止める要となるオランダの元老ヴァン・メアだったが、なんと大勢の人々の目の前で射殺されてしまう。
それは開戦を目論むナチスの陰謀だった。
しかし、事前に彼に会っていたジョーンズは、殺されたのはヴァン・メアの偽物だと見抜く。
こうして、開戦を左右する暗号を知るヴァン・メアはナチスに誘拐され、その騒動にジョーンズは巻き込まれて行く。
もうサスペンスと活劇がてんこ盛りの作品である。
そのバランスもよい。
誘拐されたヴァン・メアを追っての風車小屋でのサスペンス感。
殺し屋から逃れようとホテルの窓辺をつたってのジョーンズの脱出劇。
途中では、ジョーンズとヒロインのキャロル(ラレイン・デイ)との恋模様も色を添える。
キャロルは世界平和党の党首フィッシャーの娘だったのだが、そのフィッシャーは裏ではナチスに通じていたのだ。
ヒロインの父親が悪役だという設定。これ、どう収まるんだ?
(以下、 後半の展開ネタバレ)
そのあともハラハラ感は続く。
ジョーンズは裏事情を知りすぎている、彼を殺せ!
フィッシャーから殺しを請け負った男は、ボディガードを装ってジョーンズに近づく。
言葉巧みに展望台にジョーンズを誘い、人目を避けて彼を突き落とそうとする。
あわや、と思ったときに他の観光客が来て難を逃れたり。
そしてついにイギリスはドイツに宣戦布告をする。
ジョーンズたちの乗った飛行機もドイツ駆逐艦に砲撃されて海へ墜落していく。
すごい展開である。
当時の社会情勢を背景に、かなりのアクションをまじえたサスペンスものとなっていた。
ヒッチコックものの中でも「北北西に進路を取れ」と並ぶ動的な作品であった。
追記:
この映画の主演のオファーを断ったゲイリー・クーパーが、完成した今作を観て深く後悔した、との逸話が残っている。
この映画の出来が素晴らしかったことを伝えるまことしやかな話だが、本当?